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さかえや

親父さんと奥さんがとてもいいお人柄なので、しょっちゅう夕飯を食べに(というか呑みに)通ったお店。
こういう店が歩いていける距離にあったのは僥倖というしかない。

ここは富士市内では、というか東静岡では珍しくホッピーが置いてある。もちろんリターナル瓶ではなく市販品ではあるものの黒ホッピーが静岡県で飲めるのはありがたい。

ゴルフ好きのご主人は、メニューに書いてある料理だけでなく、なじみ客には割と無茶な注文やわがままを聞いてくれるので、もっぱら一人で飲んでるわたしにも刺身をちょっとずつ盛り合わせてくれたり色々融通をきかせてくれる。

この日はめっきり寒くなってきた冬の夜だったので壁の短冊メニューの湯豆腐を注文してみた。
湯豆腐、というとシンプルに昆布を一枚引いたお湯の中にお豆腐が浮かんでいてそれを掬ってお醤油と薬味でいただく、というイメージだったのだけれど、ご主人が出してくれた固形燃料で煮たった小鍋にはそのヴィジュアルをかなり逸脱したすごいのが。
蟹やらお魚やら、これは湯豆腐と言うより寄せ鍋では?と。

思わぬ豪華料理に喜んで、こいつに富士市のお隣である由比のお酒、正雪を燗してもらったら最高ですなあ。

陽気で楽しいこのお店の奥さんなのですが、日本酒の燗に関してはやや大雑把というか無頓着なところがあって、電子レンジでチンした徳利を熱くて持てないくらいに熱したかと思うと今度は人肌以下の冷たいぬるぬる燗で持ってきたりするのが実に惜しいところ。

電子レンジで燗をつけてはイカンとまでは言わないけれど、せめて香りが飛ばないように徳利にラップをするとか、温度をある程度一定にするため割り箸を突っ込んでおく工夫とかしてくれるとありがたいんだけれども。

まあ、それはそれとして。
カウンターの横のテレビで大相撲中継を眺めながら、正雪をもう一合。
チーン。あちちち、コレもう沸騰寸前ですぜ(^_^;)

湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 久保万太郎

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