春団治
ご近所のお店は大抵お盆の間ずっと営業していた為、お盆明けの今日からは休むお店がほとんど。
そんな中、物好きにも開けている酒場を探して彷徨い歩いてると、入り口の明かりが通りの反対側から見えたので恐る恐る扉を開けてみる。
あれ、誰もいない・・・、と思った店内の、カウンターからひょいと立ち上がったチョビ髭のご主人。
ひとりですけど、いいですか?と尋ねると、
「県外の方ではないですよね?」
と念を押されたのち、カウンターへどうぞ、と
グレ 一夜干し
グレはあら炊きと迷ったけれど一夜干しに。
ヒイカのポン酢
「徳島に来て、何か美味しいものを食べましたか?」
と聞かれたので、ラーメンが割と有名ですよね。
かなり食べ歩きました。
・・・でもねえ。
飲み屋で隣り合ったお客さんに、美味しいお店を聞いたりして。
じゃあ今度行ってみます、と言うと、ああ、でも随分前に閉まっちゃて、もう無いんですよ、なんて言われて。
徳島ラーメン、ということばが独り歩きしているけれど、実のところ、この土地で愛されているラーメンってのは、ずっとずっと昔から、近所の中華そば屋さんで普通に出されていた、昔ながらの豚骨醤油の中華そばなんじゃないかと最近思うんですが。
ご当地ラーメンとかで、なんだか変に騒がれたり、注目されてる観光客目当てのラーメン屋の出すのとは、ちょっと違うような気がするんですよね。
すると店主が、
「うちの中華そば、食べてみますか?」とニヤリ。
確かに壁のホワイトボードには、こぢんまりと中華そばの文字がある。
「お客さんが今まさに言ってたようにね、わたしが若い頃、本当に美味しいと思って通ってた中華そばのお店があったんですよ。
そこのラーメンを再現したくてね、研究に研究を重ねて作ったのがうちの〆のラーメンです。食べてみますか?」
そこまで言われて、断る道理はない。
ではそれを是非。
なるほどなあ。美味い。これですよこれ。こういうの。まさにこういうのがほんとの地元で愛されているラーメン、中華そばなんだろうなあ。
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