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みすゞ

静岡といえば、鰹節や青のりの粉をかけた、真っ黒な出汁のおでんが有名。


静岡市内には青葉通りに並行して南北に店が連なる青葉横丁と、直交して東西に並ぶ青葉おでん街というふたつのおでん屋の立ち並ぶ路地があって、いわゆる「静岡おでん」を出すお店がずらりと軒を並べているのだけれど、やはりそこはそれ。
当然それぞれのお店ごとに特徴があって何度通っても面白い。

その中でもお気に入りの一店が、青葉おでん街の「みすゞ」さん。

通りの端に位置しているので、通りかかると店が混んでるかどうかもすぐわかるし、なにしろお母さんと目が合ってしまうと、そのまま素通りするわけにはいかない。

「おでん街はね、ずっと昔は全部屋台だったんだよ」
とお母さん。

すじ

ほら、そこにプラモデルがあるでしょ、そういう屋台を引っ張って、その大きな通り沿いにずらっとおでんの店を出してねえ。

見るとおでん屋台のリヤカーのみならず、静岡の誇る模型産業、田宮模型は勿論、バンダイやハセガワ、京商などのプラモデルがずらり。

これらを眺めているだけで緑茶割りが数杯呑めそうだ。

しぞーか割り

なるほどねえ。
聞けばその昔、やんごとなきお方のこの地域への視察が決まり、景観がよろしくないということで大慌てで大通りの屋台が全部撤去を命じられ、その交換条件としてこの路地に店を構える権利をもらったとかもらわなかったとか。

黒はんぺんしか勝たん

その土地の歴史の話は、聞けば聞くほどに面白い。
これだから酒場放浪はやめられない。

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