AI時代の賢い指示法：自分より優秀なAIを使いこなす秘訣

2024年10月5日 13:59

はじめに

「一流のマネジャーは、自分より優秀な人材を使える人である」という言葉を昔、何かの本で読んだことがあります。AIが普及する現代、このスキルは多くの人にとって必要不可欠なものとなりつつあります。リーダーシップやフォロワーシップと並び、新たなカテゴリーを形成するでしょう。

ある人がAIの使い方に悩んでいました。

「やりたいことを指示しても、違う方向に導かれてしまう。望んでいる回答が得られない。聞き方が難しいんです」

私はこうアドバイスしました。

「いろんな場面に応じた聞き方を身につけなきゃ、なんて思わなくていいんですよ。こう言ってみてください。
『これこれ、こういうことをしたいんだけど、AIにより良い結果を出してもらうには、どういう指示をしたらいいかな？』と」

彼は驚いていました。

「え、そんな風でいいんですか？」

「いいんです。そう聞くとAIは『こういう指示の仕方だと高い成果が出せます』と教えてくれます。その指示を改めて入力すると、実際に良い答えが得られますよ」

自分より仕事ができる人に指示を出すとき、上司である自分が考える指示だけでは、その人の最高のパフォーマンスを引き出せないことがあります。そんなときは、

「本質的にはこういうことをしたい。どういうタスクを君に言い渡せば、一番仕事しやすい？」

と尋ねて、

「じゃあ、それをお願い」

とするのが速いですよね。

AIは非常に博識でありながら、指示された範囲内でしか動きません。だからこそ、「自分より優秀な部下がいる状況」を想像して指示を出すと良いのです。

多くの人は、上司を超える能力を持つ部下を使いこなす指示を見聞きしたことがありません。そういった環境にいなければ、自然とそのような指示をするのは難しいかもしれません。

私自身、新卒で商社に入ったとき、素晴らしい人材を使いこなすマネジャーを目の当たりにしました。当時は「部下に相談する上司もいるんだな、ゆるいな」と感じていましたが、今思えばそれができる人だったのです。

自分の能力上限でAIの可能性を制限しないためには、AIに指示文を「作らせる」ことが重要です。難しいことではありません。

「僕はこれがしたい。君にどう指示するのが最高の結果を生むかな？」

と聞くだけです。

魔法のランプの魔人に願い事をするなら、一回目は「最高の願い事をする方法」を尋ねるべきかもしれません。多くの物語では、つまらないことで3回の願いを使い切ってしまいますが、私たちはAIという「魔人」を上手に活用して、最高の結果を引き出す方法を身につけるべきです。