【α版】舞台に特化した広報PR・プレスリリース準備編
はじめに
こんにちは、石井理加です。
私は舞台芸術に特化した広報PRを行っています。
代行という形でその団体の広報PRを請け負ったり、コーチングという形で手取り足取りやり方をお教えすることもしています。
去年からコーチングのご要望をいただくようになり、お教えするにあたってテキストを作成しました。それを今年頭あたりから、SNSに画像で載せたりもしていたのですが、細切れだと読みづらい、わかりづらいと思いましたので、まとめて読めるようにnoteの記事にしました。
Zoomや対面で説明しながら使っている「テキスト」なので、このように文字・文章だけで公開するにはあまりに乱暴で、説明不足なものです。
ですが、SNSでの最近の反応を見ると、公開しないよりは、公開した方が誰かの役に立つのではないかと思うようになりました。
ですので、あくまでも「α版(開発の初期段階のバージョン)」です。今後ちゃんとした説明テキストを執筆する予定ですが、予定は未定です。
また、こちらは「プレスリリース準備編」なので実質はまだ前編、今後「プレスリリース送付編」(後編)も執筆予定です。実例も公開して解説する予定なので、お待ちいただければ幸いです。
こちらの記事は全文無料公開です。
ぜひ、スキを押していただいたり、コメントでフィードバックをいただけると助かります。
広告と広報PRの違い
「広告」
新聞広告、雑誌広告、テレビ・ラジオCM、駅広告
【アプローチ先】顧客【費用】有料【特徴】内容や出すタイミングを指定できる
「広報PR」
新聞記事、雑誌記事、テレビ・ラジオ出演
【アプローチ先】メディア(記者、編集者、ディレクターなど)【費用】無料【特徴】メディア側が「伝える価値がある」と判断し、取材し記事になる。内容や出すタイミングは指定できない。
※補足
広報PRも広告も、マーケティングの4Pの中の「プロモーション」に含まれる概念。広報PRは間接的に、広告は直接的に売上につなげるための働きかけと考えてもいいでしょう。
マーケティングの4P「Product(商品):何を売るか」「Price(価格):いくらで売るか」「Place(市場・流通):どんな顧客に売るか・どこで売るか」「Promotion(プロモーション):どのように売るか」(参考:https://sp-jp.fujifilm.com/contents_school/column/column46.html)
「広報PR」とは
「広報」とは
企業や団体の活動内容や、商品やサービスの情報発信をする業務のこと。またその担当者や部署。
「PR」とは
パブリックリレーションズ(Public=世間 Relations=関係性)の略。企業や団体が、世間(社会、多くの人)とより良い関係を構築するという概念や、そのための働きかけ。
舞台芸術における「広報PR」
公演を行う団体(または個人)と、それに関わるすべての人、機関との間に信頼関係を作り、認知度の向上や、団体の価値を上げるために行うありとあらゆる活動。
プレスリリースを作成しメディアに送付し、情報を掲載してもらう。取材をしてもらい、記事を書いてもらう。
それを自身のSNSで拡散し、注目されている、盛り上がっていることを伝える。
メディアに掲載されたことをHPに記録し、実績として活用しさらに大きなメディアへアプローチの材料にする。
舞台芸術の広報PRでやること
チラシの作成、配布
アイキャッチとしてのビジュアル、情報をコンパクトにまとめる。
チラシとHPで載せる情報量を変える。折り込みチラシは観劇ファン、演劇担当の記者はけっこう見ている。
HPの作成、更新
SNSだと情報が流れていってしまうので、情報をまとめて置く場所として設計する。チラシに載せきれなかった情報を載せる。顧客もメディアも専門家も見る。
SNSの更新
Twitterは劇作家、俳優、観客が同じプラットフォームにいる、観客や仲間の応援で情報の拡散が可能。「SNS上での盛り上がり」は演出できる、メディアに載った場合は積極的にSNSで発信。
プレスリリースの作成、送付
プレスリリースを作成して、メディアにメールまたは郵送で届ける。こちらから積極的に情報を届けないと届かない。
プレスリリースの送付先と目的
プレスリリースの送付先によって相手に求める行動が違う。
※「情報をコンパクトにまとめたもの」を送るのが目的なので必ずしもプレスリリースでなくても良い。
情報掲載を狙うメディア
例:ステージナタリー、SPICE、ぴあ、みんなの経済新聞など。(無料のウェブ媒体が多い)
プレスリリースの情報がそのまま載る、取材なしで送った情報から記事を書くメディア。
取材獲得を目指すメディア
例:新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、など。
プレスリリースの情報から興味を持ち、取材に来て、記事になるメディア。「誰にどんなことが取材できるのか」「それにどんな社会的な価値があるのか」を伝える必要がある。
専門家
例:評論家、批評家、専門雑誌の編集者など。
公演情報を伝え、招待し見に来てもらい、公演後の記事や劇評を期待する。インフルエンサーマーケティングに近い。
プレスリリースを書く準備をする
公演や、公演を行う団体(または個人)の特徴を言語化する。プレスリリース、HPを作成する際の材料になる。
公演概要を書き出す
いつ、どこで、誰が、何をするのか
例
いつ:2024年4月10日〜14日
どこで:上野ストアハウスで
誰が:太田守信が主宰する黒薔薇少女地獄が
何をするのか:将棋の駒を擬人化し、詰将棋の展開と物語がリンクして進行する、棋譜と物語を掛け合わせた舞台
何をするのか=企画概要(公演、団体)を簡潔な一文で表現する
名詞で終わるようにするのがポイント。
例
・身体、音楽、物語を駆使した舞台表現によって、感覚的な体験ができる現代レビューショー
・役者自ら住み込みで劇場を建てる、数十トンの水を使う野外テント芝居の劇団
特徴、どんな作品なのか
他の企画にはない独自性や、お客様から選ばれる理由。
写真、動画
過去の公演写真、公演の様子がわかるダイジェスト動画など。
あらすじ
200字程度。
参加方法
公演スケジュール、チケットの販売日、価格、購入方法
公演を行う団体(または個人)の来歴を書き出す
実績
公演実績や動員数。
メディアの人にどういう活動をしてきたかを伝えるときに、数字がある規模感が伝わりやすい。少なくてもだんだん増えていれば「成長している団体」と伝えられる。
お客様の声
これまでの公演に寄せられた感想など。どんな人に見てもらいたいか、どんな変化を起こしたいか。どんな人が「見てよかった」と思う舞台なのか、どんな人に役立つ舞台なのか、人や社会に対してどんな変化を起こしたいのか。
代表者プロフィール
来歴、なぜ演劇をはじめたのか。何を特徴としているのか、どんな方向性で活動しているのか。200〜300字程度。
団体プロフィール
設立年、何を特徴としているのか、何を目指して活動しているのか。200〜300字程度。
出演者プロフィール
出演者の氏名、出身地、プロフィール、写真。
なぜ今、この公演をやるのか
代表者コメント
どのような思い出この作品を作ったのか。200字程度。
ストーリー
なぜこの企画を行うことにしたのか
なぜ今なのか
開始するまでの苦労・失敗談
どのように回復したか
今と今後の夢
問い合わせ先
広報担当者の氏名、メールアドレス、電話番号
団体のHP、メールアドレス、SNSアカウント
※メディアの方は基本的にお忙しい、すぐに返事が欲しいので電話で問い合わせが来ることも多いので広報担当者の電話番号は必須。HPアドレスはQRコード画像も貼り付ける。
どんなメディアに載りたいか、どのよう取り上げられたいか
ウェブメディア、新聞、雑誌の記事を読み、どのような見出しがついているか、どのような切り口で取り上げられているのかを研究すし、自分だったらどのように紹介されたいか、取材されたいかを具体的にイメージする。
参考文献
広報・マスコミハンドブック
さまざまなメディアの連絡先が一覧で載っています。表紙に書いてある通り「担当者必携」です。とにかくよく使う一冊。
ゼロ円PR
私が広報PRを学んだ株式会社LITA「PR塾」の代表であり、現役で最前線で講師も務めている笹木郁乃さんの本です。エアウィーブを有名にしたのは彼女のPR術です、余すとことなく書かれています。
お金をかけずに誰でもできる! SNS×メディアPR100の法則
同じく「PR塾」笹木郁乃さんの本です。なんと100も色々な施策やアイデアが載っているので、「どんなPR方法があるかな〜」と考える時にパラパラめくるなんていう使い方をしています。
メディアの人とスマートにつながる広報・PRのアプローチ攻略術
PR全般について書かれていますが、プレスリリースの送り方やメディアの人との付き合い方について特に細かく書かれています。
さいごに
ここまで読んでくださりありがとうございました。
今回公開したテキストはあくまでも「今」時点での最新版です。PRは時代によって変わり続けます。
これからも研究を続け、実践を続け、より良い広報PRができるように努力したいと思っています。
この記事がお役に立てれば幸いです。