とてつもなく暗いが、死ぬほど泣ける『CLANNAD』
トラウマ爆発『CLANNAD』の悲しいキャラ
爆笑問題のラジオにゲストで出演した虚淵玄は、まどマギの展開が斬新に感じられたという感想に対して、「ぼくらの世界(ギャルゲー)では当たり前なんですけどね」と漏らしていた。
確かに、ギャルゲーは暗い。過去に囚われた美少女達が主人公に寄ってくる。彼女達のトラウマを自分で背負う覚悟を決めた主人公の心情は、まさにプレイしている者にとっても同じである。
ただ、ゲームなら、何度も繰り返し、それぞれの女の子を攻略できる。EDクリップを一覧で眺める事もできる。しかし現実は違う。リプレイは許されないのだ。見事に同時系列でまとめてくれたアニメがある。トラウマ共が集結、その名も『クラナド』である。
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食い入って見たものの、何やらモヤモヤした気持ちは決して拭い去れない。
まず、全体的に暗すぎる。和気あいあいとしているのに、登場人物達はトラウマが原因で再起不能になる。
主人公岡崎は桁外れの努力と正義感を持って、非常に優れた思いやりをみせる。だから、美少女達が恋をしてしまうのはよくわかる。岡崎が最後に選んだのもよくやったと褒めてやりたい。 だが、藤林涼ともっとデレデレしなかった岡崎をきつく批判せねばならない。あんないい子はいない。
相変わらず「萌え~(死語)」みたいな感情にはならなかったが、何かと暗くて楽しかったのは事実である。 『氷菓』と声優がかぶっているから、それでまた二倍楽しめた。まあしかしあれだ。過去に囚われ過ぎるのは体に毒である。「その過去を含めて俺が救ってやりたい」というオタクの欲望みたいなのを満たしてくれるのがギャルゲーなのかもしれない。残念ながら私は岡崎のように器のでかい人間じゃないので感情移入はできないが・・・(自分のことで精一杯である)。
続編も寂しかった!『CLANNAD After story』
京アニのマイベストは『氷菓』だが、『クラナド』シリーズも素晴らしい。ただの萌えアニメじゃないことをしっかりと証明している作品だと思う。 というのも渚を選んだ一期で、恋愛シュミレーション的なゲーム要素は一旦終了している。二期目(After story)の序盤はいまいち楽しめなかった原因はそこにあって、きりがよく終わった物語に満足していたのかもしれない。しかし、後半から話は一転する。それまで他人のために死力を尽くした主人公の朋也にスポットが当たる。
一期までは朋也にあった自信が二期では全くない。今までは、他人を励まし勇気付けてきた存在だったが、二期では困難にぶつかり自分を責めまくる雑魚っぷりをあらわにしてしまう。「おおい!お前もうちょっと強いはずだろ!」と励ましたくなるほど弱々しい男になっている。まあ高校を卒業したばかりでいきなり仕事を始めたんだから、困難にぶつかるのも仕方の無い事だ。
雑魚キャラ朋也が成長する物語になるとは思いもしなかった。風子があんまりでてこなかったのはちょっぴり寂しかったけど、最後らへんに登場してくれたのでそこも大満足だった。 まああれだ。このアニメは最初から悲壮感が漂いすぎていて、とても暗い話なのに、風子がいいバランスをとっていたのだと個人的に思っている。風子が朋也と汐の家に遊びにきた時なんて、誰しもハートウォーミングだったに違いない。
しかし寂しい物語にはころごりだ。あっけなく人が死んだり、狂っていたり、どうしようもなく突き放される話には心を奪われるんだけど、じわじわくる寂しいやつはやっぱり苦手。ほら、渚も「悲しい物語は苦手です」と言っていた。あれ?渚が?お前がいうなという話ですよ、全く!
主題歌は超泣ける