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必要経費をレシートから振り返る【ウィーン旅行振り返り編4】

※今回はマラソン並みに長文です。24年9月現在の主な入場料を載せています。興味のある方は数字だけ追っかけてください。

私は自分のことを「ケチだ」「倹約家だ」あるいは「神経質だ」と言ってはいるが、旅の費用についてはざっとしている。旅のお小遣い帳は記録しないし、総額でいくら使ったかも振り返らない。ただ、本能的に「ここまでなら大丈夫だろう」「これ以上払うのはちょっと…」という感覚は持っているつもりだ。

旅の前に、ヨーロッパならこのくらい、アジアならこのくらいと大まかな予算を想像して(予算を「決める」わけではない、あくまで想像するだけ)、そこから大きく逸脱しないようにしている。航空券やホテル代も、時期やタイミングによって違いはあるが、自分の中でいくらまでなら出せるかを決めている。ただその上限がコロナ以降、大きく上振れしてしまっているのが、つらいところだ。

旅行中のレシートは一応、全て持ち帰るようにしている。けれど、それを一つ一つ見返して旅にかかった合計金額を出すようなことはしない。会社の経費でいく出張ではなく、自分のお金で自分が楽しむための旅行なのだから、50セント単位まで清算したところで、それほど意味がないと思っている。

ただ、クレカの請求を見て「この時の食事ってこんなに高かったのか」とか、現地の言葉が解読できずに(不正利用でないことは分かっているが)何に使ったのか思い出せず、冷や汗をかくことはある。

入場券や交通チケットの数々

そんな私ではあるが、今回は持ち帰ったレシートを見返しながら、価格を切り口に、旅を記録しておこうと思う。

特に入場料は、手元のガイドブックやネットに書かれていた情報と比べると、ほぼ全て値上がりしていた。物価高は日本だけではなかった。

決済手段は9割以上がクレカOKだった。最終的に使った現金は10ユーロくらいだったのではないだろうか。記録違い、記憶違いもあるかもしれないが、そこはご容赦願いたい。以下、表示価格は全て24年9月時点のもの。

ホテル最寄りの地下鉄駅にて。チケットの打刻機。
利用客の少ない時間帯だったので、落ち着いて券売機の操作ができた

D1 ウィーン到着

  • 空港から市内へ電車移動 4.5ユーロ

  • 市内交通(7日分) 22.6ユーロ
    たまたま火曜日に到着して日曜日までの滞在だったので、7日間有効のチケット(ウィーン市内の地下鉄・トラム・バスが乗り放題。有効期限は月曜日0:00~翌週月曜日9:00)が便利に使えた。途中で日帰り旅行もしたのでずっとウィーン市内にいたわけではないが、最終的に元を取るくらいは利用できたと思う。

  • 楽友協会見学ツアー 10ユーロ
    事前にネットで購入し、メールで送付されたPDFを印刷して持参。ツアーのチケットは窓口購入もできたようで、そちらの方が素敵な紙のチケットで発券されていたのでうらやましかった。
    ちなみにツアーは20人くらいが1組になって館内を移動する。杖を突いて歩いている参加者がいたが、スタッフがエレベーターに誘導していた。配慮があって素敵だなと思った。

  • カールス教会 9.5ユーロ
    楽友協会見学ツアーを終えたら、すぐそばのカールス教会へ行く。入場料は現金のみのと言われたが、窓口に貼られていたQRコードを読み取ればクレカ清算が可能だと教えてもらい、その場でチケットをオンライン購入した。購入履歴画面を係員に見せて入場。

楽友協会では帰国する日に佐渡裕さんの公演があった。
チケットはとっくに完売だろうが、生で聴いてみたかった

D2 ウィーン市内散策

  • 王宮見学 49ユーロ
    出発前にインターネットから「シシィチケット」を購入。正直、安くないが、いわば今回の旅のハイライトのようなものだから受け入れる。こちらも購入時に送られてきたメールを印刷して持参した。この日は朝一番でシシィミュージアムからスタート。中国語の団体と英語の団体に挟まれて、なんだかあっという間に出てきてしまった。団体をやり過ごして、もっとゆっくり見るべきだった。

  • 王宮図書館(プンクザール) 10ユーロ
    今回の旅行で私が最も楽しみにしていた場所がここ。入り口は普通だが、建物の中に入ると目くるめく世界が広がっていて、個人的にはお値段以上の価値を感じた。

  • モーツァルトハウス 14ユーロ
    午後に予定していたオペラ座見学ツアーの開始までに、少し時間があったのでモーツァルトハウスへ行ってみた。モーツァルトが最も豊かな時代を過ごしていた時の家だそう。入場料には日本語のオーディオガイドが含まれていた。最終日に訪れた「音楽の家」とのコンビチケットの存在を、この文章を書いている時に初めて知った。

  • オペラ座見学ツアー 15ユーロ
    ネット事前購入。各言語別に分かれて回るツアーは、むせ返るほどに大混雑。私たちのツアーを担当してくれた女性(5カ国語でガイドができるのだとか)が「本当に今日は人が多くて十分に案内できているか心配」みたいなことを(多分)言っていた。
    階段の上り下りが多いが、こちらはエレベーターの利用はない。一緒になった人は、同行者の助けを借りつつ、杖を突きながら見学していた。大混雑する中でもガイド同士があうんの呼吸で自分たちのチームをリードする様子はプロだなぁと思った。
    オペラ座の見学は日本語ツアーもある(他の言語と比べるとやはり設定日は少なめ)。今回はタイミングが合わなかったのだが、日本語ガイドで聞いてみたかった。

  • シュテファン大聖堂(北塔) 7ユーロ(現金のみ)
    柵の向こうから見学するだけなら入場は無料。北塔と南塔があり、北塔からだと紋章が間近で見られると読んでいたので北塔に上る。登り口(=チケットを買う場所)が見つからず、他の客にこっそり着いて行ってようやく発見。

王宮前の広場は工事中だったけれど
何度前を通ってもカメラを向けてしまう

D3 ウィーン市内見学

  • シェーンブルン宮殿 (シシィチケット49ユーロ)
    3日目はシェーンブルン宮殿の見学からスタート。朝一番で行かないと混雑しているという情報であふれていたので、私も朝イチ入場を目指す。王宮見学の時に購入したシシィチケットを見せて入場。ミュージアムグッズを少々購入し、観光気分が高まる。館内を見学した後は、広い庭園を見学。さらに丘の上の記念碑グロリエッテを目指して、緩くはない傾斜を登る。息が上がる。

  • トイレ 0.5ユーロ(現金のみ)
    細かい情報で恐縮だが、地下鉄シェーンブルン駅を出て、宮殿に向かって歩いている途中に、ツーリストセンターらしき建物があり、そこでトイレを借りた。宮殿のトイレ事情が分からなかったので、行ける時に行っておこうという作戦だ。
    自動販売機のようなものに現金を入れてコインを買い、そのコインを改札(?)に投入して入場する方式だったが、そもそもコインの買い方が分からず困っていたら、奥から職員が出てきた。結局、その職員に現金を渡して入れてもらった。ちなみに、ここのトイレは日本のトイレかと思うくらい清潔かつ近代的に整備されていた。なお宮殿の建物に入ったところにすぐトイレがあった(こちらは無料)。あと少し我慢すれば無料だった。

  • べルベデーレ宮殿 (上宮)  17.5ユーロ
    シェーンブルン宮殿の後、べルベデーレ宮殿へ。中央駅から歩ける距離にあるべルベデーレ宮殿 は、クリムトのコレクションで有名。実は私はクリムトに特に執着がなく、旅行前はスケジュール次第では行かなくてもいいかなとさえ思っていた。が、やはりせっかくオーストリアまで行ったのだから見ておいた方がいいだろうと思い直し行くことに。(結果、とてもよかった)。
    入場は時間指定制だったので、宮殿の敷地に入ってからスマホで購入。チケットオフィスもあったので、無理にスマホからオンライン購入する必要はなかった。

  • ヴォーティフ教会 無料
    べルベデーレ宮殿での美術鑑賞後、足は疲れていたが、まだ意外と時間があったので、もう一カ所気になっていた場所、ヴォーティフ教会へ向かう。教会へはウィーンの環状線に沿って走るトラムに乗って移動(早すぎず遅すぎない速度のトラムが私は好き)。環状線沿いには国会議事堂や市庁舎など、壮麗な建物が次から次に出てくるので目が忙しい。
    ヴォーティフ教会は、空に向かって立つ白亜の双塔が遠くからでも印象的。建物に精緻に施された彫刻は、雪の結晶かレース編みのように美しい。さらに中に入ると壁面を埋め尽くすステンドグラス。教会が好きな人は絶対に行った方がいい。
    教会の正面の道を挟んだ場所に広がる芝生では、ワインを飲みながらピクニックを楽しむ複数のグループが。なんて贅沢な時間と空間を過ごしているのだろうと、うらやましくなる。日本で寺社の境内でピクニックなんてしていると、ただの迷惑行為。

  • 美術史美術館  21ユーロ
    ヴォーティフ教会とその周辺の風景に若干後ろ髪をひかれながらも、再びトラムに乗り、来た道を引き返す。お次は美術史美術館を目指す。美術史美術館はマリア・テレジア像を挟んで自然史博物館(双子のような外観)とシンメトリーに建つ。
    朝からシェーンブルン宮殿に行き、べルベデーレ宮殿をぐるぐる歩き、既に十分疲れていて、かつ、一日に2カ所も大型美術館に行くのはちょっと消化不良になりそうではあったが、できればこの日に行きたかった。
    というのも、もともとは美術史美術館は最終日に見学予定だったが、旅行中ネットサーフィンをしていると「木曜日は21時まで開館」という情報を見つけ(D3は木曜日だった)、夜まで時間があるなら行ってしまおうと思ったのだ。
    絵画セクションは、ブリューゲルやカラヴァッジオなどなど有名絵画が目白押し。これだけでも十分見ごたえがあるのに、美術工芸館と呼ばれるエリアには絵画以外のハプスブルク家の膨大なコレクションが収蔵されている。「充実」を通り越してもはや「情報過多」。くれぐれも一度に全部見ようとは思わないことだ。
    絵画セクションは、大きなソファに座ってゆったりと鑑賞できるのも特徴で、そのおかげか、入場者は少なくないはずなのに、混雑した感じがない。好きなだけ好きな絵画を見ていられる贅沢な時間が堪能できた。これは本当に素晴らしいと思う。日本も真似すればいいのに。

美術史美術館は絵画の展示が有名だが、それ以外の展示もかなり充実
美術史美術館のエジプトコーナー

D4 グラーツ日帰り旅行

  • 往復鉄道料金 15.9+9.9=往復25.8ユーロ
    OBBのサイトから購入。片道ずつ入力して購入。通常料金は片道29.9ユーロ。往復割引などはないが、いわゆる「早割」がある。1カ月以上前に購入するのが一番安く、出発日が近づくにつれて割引率が下がる。
    1カ月も前から時間指定で購入するのはある種「賭け」ではあったが、割引率の高さには勝てなかった。平日と土日を比べると、平日の方がさらに安くなる傾向があったので平日に出発するように計画した。往路も復路も半額かそれ以下で買えてラッキーだった。私が買ったのは次の時間帯。
     ウィーン発 07:58 → グラーツ着 10:33
     グラーツ発 17:26 → ウィーン着 20:02(実際は30分ほど遅延)
    グラーツではトラムを一駅乗り過ごしたり、雨で見る予定だったスポットをカットした部分もあったけれど、この時間帯の列車を選んで、まあまあゆとりを持って観光できた。

  • グラーツ市内交通 24時間券 6.8ユーロ
    トラム乗り場の券売機で24時間券を購入。初見でも簡単に購入できた。

  • エッゲンベルク城(庭園) 2ユーロ
    城に行くにはまず庭園に入る必要がある。ガイドツアーは別料金。

  • エッゲンベルク城(ガイドツアーで見学可能) 18ユーロ
    グラーツ市内の他のミュージアムの入場とセットになったものを購入した気がするが(窓口の担当者の英語が早口で半分も聞き取れず言われるままに購入)、結局、お城しか見学しなかった。

  • グラーツ中央駅のトイレ 50セント(現金)

トラムの乗り場でグラーツの公共交通機関1日乗り放題券を購入。操作は簡単だった

D5 ブラチスラバ日帰り観光

  • ブラチスラバ往復鉄道料金 18ユーロ(ブラチスラバチケット)
    OBBのサイトで事前に「ブラチスラバチケット」なるものを購入。ネットでも先人たちが激押ししていた移動手段だけあって、列車は好きな時間帯に乗ることができ、かつブラチスラバ市内の交通機関も乗り放題。観光客にとって便利すぎるチケットだ。出発日の曜日は関係なく、年中同一価格。有効期限は4日間だった。
    OBBサイトで購入すると予約番号が送られてきて、駅の券売機で予約番号を入力して発券するシステム。最初は、何でこんな二度手間なことをさせるのかと憤っていた(うそ、ビビっていた)が、実際の操作方法は簡単で怖がることは何一つなかった。

  • ブラチスラバ城入場料 14ユーロ
    お城の中庭?前庭?で、偶然にも中世のイベントを開催していた。蚤の市好きな私としては、それだけで十分満足してしまい、もうお城の中は入らなくてもいいかなという気もした。しかしやはりここまで来たのだからと考え直して、入場チケットを購入。
    14ユーロは少し高めだと感じたが、実は、後から他の人のブログを見てみると、私はかなりの見どころを見落としていたことに気付く。完璧に見学出来ていたら14ユーロの価値は十分ありだと思う。予習が足りなかった。とほほ。

  • ブラチスラバ駅構内の地下にあるトイレ 0.5ユーロ(現金)
    係の人に現金を支払うと、昔懐かしい感じの小さな領収書を渡してくれた。トイレで現金を払って領収書を渡されたのは、ここだけだった。

ブラチスラバはどう表現するのがぴったりか分からないけれど、
「私観光しています」という感覚があって楽しかった
ブラチスラバの日本大使館(薄緑の壁)の脇には花屋が出る

D6 最終日空港へ

最終日。20時出発の便だったので、積み残したところというか、時間に余裕があれば行ってもいいかなと考えていたところに行く。

  • 市立公園 無料
    パンフレットとかに使われる、有名なヨハン・シュトラウスの黄金の像を拝みに行ったが、改修工事中のようで足場が組まれていた。ちょっと残念だったけれど、朝の公園を散歩するのは爽やかだったので、よしとする。

  • 王宮家具博物館 (シシィチケット49ユーロ)
    シシィチケットで見学可能。シシィチケットは王宮とシェーンブルン宮殿だけ見学出来たらそれで十分だと思っていたが、冷静に考えると2カ所で49ユーロはやはり高いのでは?と倹約家の本能がうずき、地下鉄も乗り放題だからと、足を延ばす。
    オーディオガイドはあるが日本語はなかった。それだけ日本人の来場者が少ないということだ(そういえば観光案内所の地図も、日本語のラックは中国語の地図に占領されていた)。仕方がないので中国語を借りる(英語よりは聞き取れる)。歴史的なものから現代のものまで展示は膨大だが、デザイン好きな人は行ってもいいかな、という程度。

  • 音楽の家 17ユーロ
    入場料、ちょっと高すぎではと思いつつ、私はクラシック音楽が好きなので、最後にえいやで行ってみる。各階、防音扉(?)を自分で押し開けながら見学。防音扉に気付かなかったら、展示を見逃すところだった。
    展示はベートーベンやシューベルトなどなど大作曲家の紹介から、現代的なテクノロジーを駆使したものまであって、飽きさせない。社会科見学風の子どもたちが多いのも納得。

  • 空港までの鉄道料金 差額2.1ユーロ
    D1で購入した7日間有効のチケットが一部利用できる。7日間有効のチケットはあくまでウィーン市内の交通が乗り放題。そのため、市の郊外にある空港に行くには、差額を払う必要がある。券売機で差額分だけ購入。差額の払い方については、どなたかのブログで予習した。感謝。

音楽の家に展示されていた「シューベルトの眼鏡」
9月下旬、街の花屋さんは、ハロウィンのアレンジにあふれていた

記録のためにと書き始めると、めちゃくちゃ長くなってしまった。(ここまで読んでくださった方います? だとしたら本当にありがとうございます!)これ以外にも毎日、レストランやカフェでの食事代、スーパーでの買い物、自分と周囲の人用のお土産代の支出があった。

食事代はまあそのくらいかなと思ったが、ウィーンは美術館などの施設入場料が高めのような気がした(まあ、日本の美術館や博物館でも企画展になると2500円、3000円するものはざらにあるのだが)。救済措置として観光施設を割引料金または無料で利用できるツーリスト用カード(「ウィーン・パス」と「ウィーン・シティ・カード」の2種類あるみたい)が販売されている。

ただこれらのカードは使用期限が1~3日間あり、複数日にまたがる場合は当然だが、連続して使わなければいけない。出発前に自分で考えていたスケジュールでは、元が取れるかどうか分からなかったので、今回、入場券の類は都度購入とした。

その日の体調や気分で、行動は常に変わる。ツーリストカードを購入したが故に「元を取らなきゃ」と急ぎ足で回るのと、思いつくまま気の向くままに動き回るのとでは、結果的に満足度が高くなるのは後者だと思っている。振り返ると予習不足も多々あったけれど、初めてのウィーン、まずまず楽しめたのではないか、と思っている。


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