映画「パラサイト 半地下の家族」ちょいネタバレ感想

第72回カンヌ国際映画祭<最高賞>パルムドール受賞!

と、話題のこの作品、1月10日の公開日に見て来ました。


公開日なのにガラガラなことに驚きでしたが、地方の平日の13時だとそんなものかもしれません。
私は韓国映画は「シュリ」や「JSA」ぐらいしか知らず、この映画の監督のポン・ジュノさんも知りませんでした。
それなのに観ようと思ったのは受賞で話題になったこともありますが、恵まれない人間が作戦を練って成り上がろうとする話しが好きだからです。
そして全編に渡って広がる不穏な雰囲気にも惹かれました。

事前情報から下流家族が上流家族の富や地位を乗っ取ろうとするも、最後はしっぺ返しを受けるストーリーだろうと予想していました。
おおむねその通りなのですが、そこに至るまでの過程が予想外で先が分からないというスリリングさがあります。
特に元家政婦が訪ねてきたところはゾクゾクさせられてたまらない気分にさせられました。
あと韓国に関してよく聞く、学歴社会、スマホ社会、そして北朝鮮からのミサイルのことなどの要素が組み込まれており時代性を感じます。
有名建築家による陽を効果的に取り入れる邸宅と雨の水が流れ込む半地下の家の対比も象徴的です。
下流息子はわざわざ庭の日の当たる部分で読書をしており両親に呆れられていましたが、私なんかはその気持ちがよく分かり、若者がネットにより上流の世界を知ると光る世界へのこだわりが強くなるのでしょう。
そして汚水溢れる便器のふたの上に座る下流娘のシーンは彼女のたくましさが出て非常にロックなシーンになっており、大きな見どころになっています。

下流家族同士のいさかいですが、協力して上流家庭から上手くいただいていけばいいのにと思いましたがやはりそう上手く生きません。
よく貧乏人は数が多いからみな協力すれば金持ちに勝てるが、そうならないのは金持ちが分断させているからだという陰謀論があります。
しかしここでは互いに余裕のなさから相手を蹴落とそうとしており、現実でも金持ちの陰謀などではなくそんな理由で協力し合えないのかもしれません。
そして韓国発祥の「指殺人」なんて言葉がありますが、スマホでタップひとつで相手の生活を破壊できることを北朝鮮のミサイルに例えていたのも韓国、引いてはIT化とハイテク兵器に翻弄される世界の時代性が映されています。

私は下流家庭が上流家庭を全て乗っ取ろうと画策していると思っていたのですが、実際はそんなことはなく少しいただくだけのようでした。
しかし上流家庭が素直に自分たちが良いと思うことをするだけで下流家庭を傷つけます。
いや、傷ついていたのは父と息子の2人だけのように見えました。
母と娘にはそのような様子はなく、地位や名誉にこだわる男性の性質が表現されていたのでしょう。
その父と息子には特別な絆があるようで、2人は「計画」という言葉を頻繁に交わします。
父にとっての計画は無計画ということで、おそらくは論理よりもプライドや感情を大事にしたいということではないでしょうか。
そして息子が最後に立てた計画は父を想ったもので、儒教的な価値観が現れていたのかもしれません。
そういうところを考えると、この映画は世界的な問題と韓国らしさを高度に調和させた映画なのではないかと思います。

秘密の部屋は社会のしがらみから逃れられるサンクチュアリでしょう。
半地下の住宅よりも暗い世界ですが、そこでは闇金や刑法、そして北朝鮮からのミサイルからも逃れられます。
そこでの暮らしに憧れる人は多いのではないでしょうか?
私も少し憧れたり・・・
映画を単なる格差ある家庭の対比と争いで終わらせない良いスパイスになっていました。

あっと言う間に2時間が経った映画で、世界的な賞を得た作品は凄いな感じました。
伏線が利いており、先が読めない展開からのそう来るかというカタルシスもたまりません。
そして私が映画館から家に帰宅する際、かなり歩いてから満員電車に乗ってしまい、腰が痛いわ暑くて汗が出るわで大変でした。
そして思い出すのは上流父が語る臭いについてで、自分が今周りにどんな臭いを振りまいているのか気になってしょうがなく、この作品は色んな意味で心に残った映画になりそうです。

今年観る予定の映画リスト

・メイドインアビス -深き魂の黎明-
1月17日公開
・ゴブリンスレイヤー GOBLIN'S CROWN
2月1日公開
・Fate/stay night [Heaven's Feel] Ⅲ.spring song
3月28日公開
・シン・エヴァンゲリオン劇場版
6月27日公開
・Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-
2020年夏公開
・ギヴン
2020年公開予定
・鬼滅の刃
2020年公開予定

できるだけ公開日に観に行く予定です。

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