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地方に実店舗をオープンさせるにあたって学んだこととそのナレッジについて

こんにちは、フォトグラファーとカフェ共同経営をしていますIshigameKoudaiです。
2021年の9月にCafeDoggiesというペットも入れる写真スタジオ付きのカフェをオーナーの友人と一緒にオープンしまして、おかげさまで今月で1周年を迎えることができました。お客様にも恵まれ、非常にありがたい限りです。

まだまだお店を伸ばしていくため、来てくれる皆さんにとってより良い場所にするため課題ややるべきことが多いわけではありますが、1周年という節目でもあるため、実店舗をオープンし形になるまでに自分達がやってきたことやナレッジの一部を共有できればいいなと思いこの記事を書きました。

また、急激に減少する人口や衰退傾向にある中で、地方でもっといろんな人が挑戦し少しでも成功に近づけるための一つの物差しとなる意味でも、読んでくれた方の糧になればいいなとも思っています。

(注意点としては、あくまで僕達が置かれた中での事業を展開する時に考えたことや振り返ってみた気づきのシェアであり、読者の方々の成功の確約や必ず儲けられるといったものではないことを前提としています。ご了承いただければと思います。)


お店の概要、どんな業態か

お店は青森県三沢市という場所にあり、ペット(主に犬が多い)も入れるカフェとしてオープンしています。

三沢市について少しだけ説明しておくと、青森県の東側に位置する人口約3.8万人の街で米軍基地(空軍)があり内1万人ほどのアメリカ人が住んでいて、非常に国際色豊かで交流なども盛んです。

また、1931年三沢市からアメリカ合衆国ワシントン州ウェナッチバレーまで太平洋無着陸横断飛行を成し遂げたミスビードル号の偉業も過去にあり、現在では空港や航空科学館があり空の街としても有名です。

お店はそんな街の中にあり、以下写真の左側がビル全体の写真になります(写真左)。大きな特徴としては写真スタジオを併設させていて、1階がアメリカンなインテリアのカフェ(写真右下)、2階は写真スタジオ(写真右上)になっています。

屋外・店内写真

Turn a fun moment into a memory forever -楽しいを形に、一瞬を思い出に-」というコンセプトのもと運営しています。

業態としては、飲食事業(カフェ)、撮影事業(撮影、レンタルスタジオ・スペース)、物販事業(アパレル、ドッグフードなど)からなっています。お店としては、ペットとのより良い「体験」を創出することを目的としていているので各事業が完全に独立しているというよりは、その体験を良くするために各事業があるイメージになります。


従って、実態としては上記に示したものだけでなく、ペットに関する様々な取り組み(指定避難所の設置、地元飲食店と共同でドッグフードの開発、クリエイターさんとコラボ商品販売)や様々なイベント(犬のリード作り体験、ウクライナ支援のポールダンスチャリティーショーなど実績あり)を行なっています。


考えたこと

お店の紹介はこの辺にしておいて、ここから本題に入っていきます。ここでいう「考えたこと」は主に出店する前のお話で、考えたことはかなり多いのですがその中から抜粋した以下の3つが大きなポイントになると思います。

  • マーケット

  • 検証が済んでいるか

  • タイミング

マーケット

まずはマーケットになりますが、こちらは飲食に限らずあらゆる分野の事業を展開するときに最も先に考えるべき項目の一つだと思います。もちろん、新しいマーケットを開拓したりiPhoneがスマートフォン市場を作ったりするような業界にインパクトを与えるビジネスもあると思いますが、非常にハイリスク・ハイリターンであり、別事業で相当な収益を上げている企業が新規事業として始めるか、経営陣に相当な胆力と覚悟がなければその意思決定をするのはおすすめしないかもしれません。

今回は、正真正銘1発目の実店舗事業ではあるので収益化してオープンし続けることが前提となっています。ですので、ベンチャービジネスのような派手なビジネスではなくとも、伸びていく市場に対してリスクをとって堅くやっていくことが必要です。

既存のマーケットに参入する場合、基本的にはより大きなマーケット伸びているマーケットに対してリソースを投入していきます。マーケット選びで全てが決まるといっても過言ではないくらい重要です。
その選択は信頼できる一時情報(人の意見や解釈がない、もしくはほぼ無いデータのこと)を参考にします。
またマーケット選びは千差万別で事業主のこだわりや好みもあるので、数字と自分達の思いを見ながら選ぶことも重要です。それ以上に、選んだマーケットでしっかりやっていくぞ、というコミットメントの方(根性論みたいで嫌なので大きな声では言いませんが)が重要だったりします。

それを踏まえて、僕たちはペット業界にターゲットを定めることにしました。以下が、日本国内のペット市場の推移になりますが期間比で112%の伸びを示していて、2021年には1.6兆円の規模になっています。

ペット関連総市場規模推移と予測(引用:矢野経済研究所)

次に、GoogleTrendsで「保護犬」「犬」と検索された数を2010年から2021年まを出した結果になります。長期にわたって犬への関心が年々高くなっていることがわかります。(Google Trendsは必須ツールです👍)

引用:Google Trends「保護犬」と検索された数
引用:Google Trends「犬」と検索された数

ここでは日本国内のデータを載せていますが、海外はどうなのかをデータで見ることも重要で、特にアメリカなどで主流となったものは数年遅れて日本に入ってくることも多いので、必ず海外のデータも見るようにしましょう。

特にペット業界に関しては日本はかなり遅れているのが現状で、
海外の場合は、動物愛護の観点からそもそも生体販売を禁止・法律でかなり厳しく制限している国もあります。
ペットとお出かけしようとするとかなりの施設でペットの出入りが禁止のところも少なくありません。青森もその例にもれなく入っていて、ペットと訪れることができる施設などは公園や屋外ドッグランを除くと数える程度なのが現状です。

逆に言えば、ここまで市場の伸びと関心の高さがデータで見えているのにもかかわらず、供給側が非常に少ない歪んだ状態というのはチャンスになります。常にこういった歪みはないか探してみると、意外と身近なところに潜んでいるかもしれません。


検証が済んでいるか

ここでいう検証とは仮説検証やPMFとは少々異なり、お客さんの反応をみて改善し実際に売上が上がることに再現性があるか、の確認になります。お店の構想段階でオーナー自身が前職で飲食店でのエピソードを話していた時に、自分で商品を企画し広告を作り売上に貢献しそれを何回も行っているこことがありました。

当たるか当たらないか全くわからないのにいきなり大きなお金や人的リソースを投入する行為はギャンブルであり非常にリスクが高いものです。
逆に、当たることがわかっていれば、もしくは当たる可能性が高いとわかればそこに資金や人的リソースを投入することによって大きなリターンを見込めます。つまり、勝つべくして勝つ状態を作れれば非常に成功しやすいと考えられます。

本来は、実際に打ち出す形でサービスがウケるかウケないかを検証できれば一番良いのですが、そうでない場合は組織(自分達)に再現性があるかをみます。その頃はお店もなければ具体的な商品もなかったので自分達にそのポテンシャルがあるかどうか、つまり結果が出るまで高速で改善を進めることができる強みを確認します。参入する分野がどうであれ、再現性が自分達にあれば最悪こける確率は少なからず減少します。

ここまで話したことを集約すると、「成功する確率を高め、失敗する確率を極力下げた状態で勝負をする」、というのがポイントかなと考えています。


タイミング

次に事業を起こすタイミングですがこれに関しては非常に難しく、トレンドをキャッチアップしている方や経験のある事業者さんでも良いタイミングを逃してしまうこともよくあります。
また、マーケットの選択以上にタイミングも同じくらい重要で、全く同じことをやっているのに事業を起こすタイミングが早すぎたり遅すぎたりするだけで全くうまくいかないこともあります。

ですので、これは個人的な尺度なので絶対とは言いませんが、一つの物差しとしてご紹介しておきます。

  • 周りの人10人に聞いてみて、2、3人くらいの人が認知しているか

  • データでは需要があるが、8割以上の人に否定されるもしくは微妙な反応をしているか

これは、飲食店や美容室、仲卸業など普遍的に需要のある分野ではなく、新しいトレンドが生まれるような場合に参考にすべきものになります。

例えばYoutuberなどがわかりやすく、今となってはスマホやPCで動画をバンバンみることは普通のことですが、インターネットの速度が遅い段階の世界では動画を見ることは今ほどなかったと思います。ただ、インターネットの速度は年々上がることは技術の世界から見ればほぼ確実だったとも言えます。その頃から仕込んでいた方がyoutubeの世界で成功していると考えると、まだメインストリームではない部分、つまり一般市民が興味を示さない、あるいは否定的な意見を発するような段階であることにチャンスは隠れているのではないかと考えることもできます。

地方のペット分野に関しては、まだまだペットといえばペットショップのイメージが強いですが、それ以外のペットウェルネス分野の施設などは非常に少ないです。需要はあるのに誰も供給できていない状況というのは、非常にチャンスであり、よほど自分達の準備不足等でコケない限り先人を切って乗り出した企業が大きく敗北を期すことは少ないです。

振り返りと学んだこと

前章まではお店をオープンさせる前のお話でしたが、ここからは1年間実店舗をやってみて気づいたことや学びになります。

  • 事業における天地人

  • 自然にお客さん同士が繋がってくれる、コミュニティ形成

  • 当たるか当たらないかよりも改善スピード

事業における天地人

天地人って何?大河ドラマ?(古い)と思った方もいると思いますが、これは「天の時、地の利、人の輪」の頭をとった文字になります。こちらは元々自分が尊敬する起業家・経営者からの教えであり、自分自身も身に染みて感じたことだったのものになります。

天の時、というのはタイミングのことです。前章でもタイミングについて書きましたが、事業というのはタイミングがものを言います。

よく、お金が貯まってから挑戦したい!という意見も聞きますが、まず事業をやるとなると初期費用でうん百万以上必要になることが多いですが、それを自力で貯めるとなるとキャッシュを作るシステムがない限りは場合は何年もかかりますね。また、マーケットは常に変化するものなのでお金が貯まってからだと、やろうとしてた事業は完全に手遅れだったりします。

タイミングは重要

そのために銀行や金融公庫などがあるので、もし自分のやりたいことで勝算もある場合は融資の相談をするのが良いのかなと思います。

次に、地の利ですが、こちらはマーケットになります。戦国武将や中国の軍師なども同じことを言いますが、自分がどんな環境にいて敵軍とどういった位置関係にあるのか、どういった地理条件に置かれているのかを見る必要があります。

釣りに例えると、魚がいない小さな池ではあなたがどんなに頑張って釣りをしても全然連れません。魚がたくさんいる大きな池に行けば同じ労力でもたくさんの魚を釣ることができます。もちろん、池の大きさを変えることや魚の量を自分がコントロールすることはできませんよね。それくらいどの領域(市場、構造の中)で戦うのかは重要で死活問題であります。
市場の本質は常に変化することなので、伸びていく市場なのかそれとも衰退していくのかなどを踏まえ今後どういうふうに変化するのかも市場を見るのには必要なことです。

最後は人の輪ですが、こちらはみなさん予想できると思いますが、人との絆ともいえば良いでしょう。もう少し具体的にすると、チームとお客さんとの輪とも言えると思います。絆と言うと信頼とかそういったものを想像すると思いますが、お互いが気持ち良く動ける構造でもあると僕は考えています。

チームの観点は、それぞれがどいう強みがありどう言うところが弱いのか、何に価値を持っていて何を軽視しがちなのかなど(その他たくさん)を知ることです。弱みがあったり軽視してしまうことは悪いことではなくその人の「特徴量であり思考の癖」でしかありません。そこに人の解釈が入ることによって初めて強みにもなり弱みにもなります。それらを把握しておくだけで不要なトラブルを避けたり、気持ち良く仕事ができます。良いリズムは良い仕事を産むことを知っておくと良いです。

次に、お客さんとの輪ですが、これは言うまでもない話でお客さんによってお店は成り立っています。個人的な意見ではありますが、お店(事業)が成長するのは僕達だけでなく顧客との相互作用によって生まれるものであると考えています。従来は、サービサーとサービスを受ける側の間には明確な区切りというのがあったと思いますが、現代は顧客と共に良い世界観のお店を共に作り上げた方が、改善スピードが速い組織(お店など)においてお客さんからのフィードバックとその反映にループより結果的にwin-winになるからです。顧客はお店の鏡であり、お店も顧客の鏡であるのではないかなと考えられます。

自然にお客さん同士がつながってくれる

こちらは、ペットに焦点を当てたお店だからなのかわかりませんが、決して僕らが強制するわけでもなく、ワンちゃんがいるとお客さん同士でコミュニケーションが自然と生まれます。普通の飲食点やカフェではまず考えられないことで、さらにその特徴は言語の壁も超えます。前章でも記述したとおり青森県三沢市は全国でも有数のアメリカ空軍の施設があり、アメリカ人も多くいます。アメリカの方もペットを連れてこれることがよくあり、ワンちゃん同士でコミュニケーションはもちろんですが、飼い主同士で話したり情報交換を行うことは珍しくありません。

世界でも有名なWebサービスでは、サービスを使ってくれる顧客を集めたユーザーグループというコミュニティも存在します。自然と良いコミュニティができることは、お店にももちろんメリットがありますがお客さん自身にとっても大きなメリットがあります。お店という一種のメディアを通すことで、誰かと繋がることは人間の本質的な喜びに関係しているのでは無いかと感じざるを得ないです。


当たるか当たらないかよりも改善スピード

大なり小なりうまくいくかわからないけど新しいことを始める時、一発逆転ホームランを狙いがちです。ホームランを狙うのは良いことですが、ビジネスにおいては基本的に空振り三振が前提であることを抑えておきましょう。ですが打席に立ちバットを何回も振り、当たらないならなぜ当たらなかったのか。違う振り方や正しいフォームでやれば当たるのかを自分達で計測し、また打席に立ってバットを振り続けます。

何が言いたいかというと、成功確率(ホームランあるいはヒット)をあげるには試作の内容ではなく試行回数(打席に出る数)を格段にあげましょう、ということです。

カフェでは日々新しいメニューが生まれは消えて、みたいなことが珍しくありません。季節によってももちろんメニュー開発はしますし、売れ行きが芳しくないメニューに関しては取り消したりもします。そうすることで、メニュー単体で見れば消えたものもありますが、トータルで見ると後で開発したメニューが売上の上位に入っていたりします。

(ホットドッグがメインのお店でしたが、のちに開発したフレンチトーストがそれらを凌ぐ勢いでで人気の商品になっています。)

最後に

長々とした文章を最後まで読んでいただきありがとうございます。お店をオープンして1周年を迎えられたこと本当に感謝の思いです。書きましたが、まだまだ改善すべきものややらなきゃいけないことなどたくさんありますが、その節目として情報のシェアをして何か受け取ったり感じていただけることがあったら嬉しいなと思い記事を終わりにしようと思います。


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