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「幸せについて考える」令和の仏教ゼミ~講演録

以下は、郡山市の橘公民館でお話した記録のまとめです。(平30.12)

「超越」目に見えないもの

私たちの日常生活において、神や仏は人間の知恵を超えた存在であり、これを「超越」と呼びます。また、その存在や力はなぜか分からないことが多く、まさに「不思議」と言えるでしょう。
目には見えないけれど、存在するものには、どんなものがあるでしょう。
目に見えずとも、確かに存在し、生活に影響を与えるものとして「春」や「誕生日」などを私は想像しますが、みなさんはどうお考えですか。

「行」気づきに至るアプローチ

次に、仏教の教えについて考えてみましょう。私たちが理由の分からないことに悩まされるとき、その内容を理解しようとするのが仏教の姿勢です。
仏教の目標は、「悩みから自由になること」であり、悩みを減らすことではありません。そのためには、物事をていねいに観察し気づきを得ることが求められますが、気づきに至る方法には様々なアプローチがあり、これを「行」と呼びます。

「苦悩」さまざまな問題

生きることには、孤独、欲求、命令、争い、愛と憎しみ、差別といった様々な問題が伴います。また、老化や健康の問題、死の恐怖も避けられません。
自分一人では受けとめきれないほどに重く大変な、しかし避けられないこれらの苦しみや悩みにどう向き合っていくかが重要です。

「往生」迎えてくれるところに帰る

仏教では、他人に関心を持つことを「慈」と呼びます。これに対して、他人に全く関心を持たないことは「地獄」と言われます。
また、人の立場に立つことを「悲」とし、人の気持ちを顧みないことも地獄とされます。つまり、孤独な状態が地獄であるとされています。
逆に「再会の国」と呼ばれるのが仏の世界「浄土」です。

「浄土」帰れる場所

そこに誰かが待っていてくれる場所があり、迎えてくれる存在があり、そこに間違いなく行けるのであれば(往生)再会の喜びが得られると人々は考えました。
いつでも、何も持たなくても帰れる、温かく迎えてくれる場所があるなら、それはまるで実家のようです。このような場所があるならば、一人の人生も一時の単身赴任のように感じられるかもしれません。

「布施」小さなできること

さて、人間が幸福を感じるためには、小さな寛容や人のための小さな行動を積み重ねることが大切です。例えば、少しだけ許すこと、人のためにできる小さなことをすること、小さな感謝を表すことです。
仏教では「和顔愛語」という言葉があり、笑顔や優しい言葉など、他人に何かを与えること(布施)が重要とされています。

結び

仏教の教えが少しでも皆様の心に響き、日常生活に役立つことを願っています。(神や仏などの)超越的な存在を感じ、日々の悩みや苦労に対処するための心の方法を学び、そして他人への優しさ(慈悲)の心を持つことが、私たちの人生をより豊かで意味のあるものにしてくれるでしょう。
小さくとも行動を積み重ね、足下に小さな幸福を感じられる毎日を送ってください。■

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