「非線形発想法」で、会社の課題を低コストで解決するためのアイデアを絞り出してみた!
こんにちは。
一般企業のシステム部門に所属する私が、ノーコード開発ツールを使って
自社の課題にチャレンジする過程を記録しています。
(2022.09.26 一部加筆修正しました)
1.前回に続き、今回は課題の解決方法「HOW」を具体的に考えてみる
前回は、他部署から寄せられた要望の中から3つ取り上げ、問題の糸口
をつかむために「5W1H」に分解する、という作業を実施しました。
前回の記事はこちら ↓
今回は、5W1Hの「HOW」(どのように=方法)に注目して、前回候補に
挙げた以下の3つの課題に対し、解決策を具体的に掘り下げてみようと
思います。
課題➊ 自社に関する誤情報や誹謗中傷をチェック
課題❷ 自社のボランティア清掃活動への参加者数集計
課題❸ 乗車時のアルコールチェックの結果報告の集計
2.課題➊「自社に関する誤情報や誹謗中傷をチェック」
「ネット上に投稿される、自社に関する誤情報やSNS上の炎上を防ぐ
ため、ネット上のニュース記事やSNSのツイートなどを定期的に
チェックする方法はないか?」
(1)Google アラートで自社ニュースを検知
当初、GoogleのAPIを使ってニュースやSNS上のツイートを抽出する
方法を考えていましたが、調べていくうちに「Google アラート」に
検索キーワードを設定すれば、日々更新された情報が抽出できること
がわかりました。
実務的にはここには会社名などを設定しておくことになるかと思います
が、今回は「コロナ」を登録してみました。
(2)「Make」でGoogle アラートの更新情報をスプレッドシートに書き出す
Google アラートを登録するだけで目的はある程度達成していますが、
抽出された情報を検索し内容をチェックするには、やはりデータベース
化しておきたいところです。
今回は、Google アラートの更新情報をスプレッドシートに書き出す
ツールを、ノーコード開発ツール「Make」で作ってみました。
(3)実行結果
おおよそイメージ通りの出力結果が出ました。
今後は、これらの情報がポジティブかネガティブかを判別する方法を
探ってみたいと思います。
ここからはAIの出番になりそうですね。
3.課題❷「ボランティア清掃の参加者集計」
「自社が定期的に実施している、ボランティア清掃活動の参加者数を
把握したい」
(1)Microsoft Formsで参加報告画面をつくる
私が勤める会社ではMicrosoft 365を導入しており、アンケートや
テストを作成するForms(フォームズ)が利用できます。
また作成者は、回答結果をエクセル形式でダウンロードすることも
できます。参加者がこの画面で回答してくれれば、集計はあっという
間です。
あとは、参加した従業員がこの画面にアクセスできるよう、QRコード
をつくります。
(2)ボランティア清掃の会場にて
ボランティア清掃活動会場の受付テントの付近に、さきほど作成した
QRコードを掲示し、各自スマホで参加受付をしてもらいます。
事前に告知をしておけば、参加者も比較的簡単に対応できるかと思い
ます。
(3)今後の対応
前回、開発ツール「Make」の活用方法を探る取組からスタートしま
したが、簡単な方法でアプリを作って解決する、という点では目的は
達成できたと思います。
まずはこのアイデアを、担当部署に提案してみたいと思います。
4.課題❸「乗車時のアルコールチェックの結果報告の集計」
「会社の業務で車に乗る従業員に、乗車前にアルコールチェックを実施
するよう義務付けられたが、チェック結果を効率的に収集する方法は
ないか?」
(1)解決策が見つからない
課題❸については解決策がまだ見つかっておりません。
今回は、解決策を見つける糸口を探ってみたいと思います。
(2)「非線形発想法」で解決策を考える
市販のアルコールチェッカー、特にクラウド上でチェック結果の管理が
でき、データをダウンロードできるのが一番いいのですが、従業員数
(結構多い!)を考えると、機器代+月額の利用料が高額になりそうです。
ここで、既存の手法では解決しないかもしれないと思い、最近教わった「非線形発想法」で解決のヒントを探してみることにしました。
課題やニーズに対し解決方法を探るとき、5W1Hのように論理的にアプ
ローチして合理的な解決方法を導き出すこと(いわゆる線形)が一般的
かと思いますが、「非線形発想法」は、解決したい課題や二―ズと、
解決手段としての技術やアイデアを敢えて遠いところからつないでみて
(非線形)、新たな発想を導き出すところが、通常の発想法と違うところ
です。
(3)手順1.課題と解決方法をランダムに書き出す
従業員にアルコールチェックを実施してもらい、その結果を収集する
という流れを作りたいと思いますが、その際に起こるであろう「課題」
を書き出します。
また「解決策」としてのデジタル技術やツールを、左列の課題に関係
なく順不同で書き出します。
(4)手順2.解決策を並べ替える
「デジタルによる解決策」の列を、さらにランダムに並べ替えてみます。
(5)手順3.「課題」とシャッフル後の「解決策」を組み合わせてみる
➊の課題と❷の解決策は、本来であれば論理的に直接結びつくものでは
ありませんが、ここから敢えてつないでみて解決方法を考えてみます。
➊と❷を組み合わせて具体的な対応方法を考えてみた結果、上表のオレ
ンジの網掛けの行が、今のところ実現可能なアイデアとして浮かび上がり
ました。
(6)非線形発想法によるアイデア出しの結果
さらに、実際に構築できそうな案としてまとめたのが次の2案です。
(案1)アルコールチェッカーの導入は先送りになりましたが、いずれ
導入が義務付けられることを想定して、クラウド上で管理ができる、
またはAPIが搭載されたアルコールチェッカーの導入を検討する
(案2)本人が顔画像(できれば誰かが特定できるIDつき)を撮影して
送信。収集したものをデータベースに蓄積するしくみを構築する
本来は、さまざまな課題とさまざまな解決策を拾い出し、一見無関係と
思われるものどうしをくっつけて、これまでにない斬新なアイデアを発掘
しようという取組ですが、最初から課題がアルコールチェックに絞られて
いたことと、解決策のアイデアがまだまだ乏しいため、画期的なアイデア
が生まれるに至りませんでした。
また、社内の複数の従業員にも入ってもらい、課題もアイデアもたくさん
出してもらう方が、より発想も飛躍するものと思われます。
5.次の展開に向けて
3つの課題のうち、2つまではおおかた道筋ができたかと思いますが、
課題❸については、2つの案のいずれが実現可能か検討してみる必要があり
ます。特に、テキストと画像の両方を蓄積できるデータベースが必要になり
そうです。
今回、「非線形発想法」によるアイデア出しにチャレンジしてみましたが、改めて世の中の新技術やサービスに、もっと関心を持つべきだと思いまし
た。
知っている技術やサービスが多ければ多いほど、解決策として提示できる
アイデアが飛躍的に増えると感じました。
まだまだ先は長いですが、研鑽あるのみです!