2年生活科<野菜の栽培>2⃣野菜づくりは豊かな学びへ「野菜大っ嫌い!」
前の記事「ヒント帳25」の続きです。「やさいたんけん ~なつやさいづくりにちょうせん~」での子供たちの様子を紹介します。
「野菜大っ嫌い!」セイちゃん
セイちゃんは、野菜が「大嫌い!」でした。「大」が付くほどですから、給食でも必ず残しました。家庭でも絶対に食べないそうです。
生活科でこの「野菜の栽培学習」をすると、「ミニトマトが嫌いだった子が食べられるようになった」などという話は、「学校あるある」ですが、その程度のレベルではありません。
だから、当然のように、
「夏野菜を育てたくない!」
でした。
そう言うなら仕方がありません。
私は、野菜育てたくない子は、別の植物を育てればいいと思っていました。野菜に固執する必要はありません。だから、1年時とは特徴の違う草花にさせようかと考えていました。
しかし、セイちゃんがそう言うのには、別の理由もありました。
どうも、「自信」がないようなのです。「自分を知っている」子なのです。うまく育てられなかったら…、水やりなどをさぼったら…、ということが頭の中にあったようです。
そこで、前単元でも、「1年生のお世話をする自信がない」と言いながら、いざ「たんけん」時には、しっかりと学校案内ができていたことを、想起させました。
さらに話を聞くと、家では家族と野菜を育てていると言います。
しばらく考えた後、セイちゃんは、
「ちょっと、待って。家の人とも相談してくる。」
とのこと。
学級の中で、自分以外の子はみんな野菜づくりに対して熱を帯びてきていることも影響したようです。
翌日、セイちゃんの出した答えは、
「エダマメなら、食べられる。エダマメにする!家でも買って育てる。」
でした。
追い込んで周りの子に同調させてしまったかもしれないと、少し胸が痛みました。
ちなみに、子供たちが選んだ野菜は、次のものでした。
ミニトマト、ナス、オクラ、キュウリ、パプリカ、シソ、バジル、ピーマン、そして、エダマメでした。
セイちゃんの「エダマメ!」に惹かれて、「自分も!」となった子が何人かいたのでした。
緊張していたカツちゃんが…
お店に行けないのなら、お店を学校に持ってきてしまおうということで、校内仮設店舗での「野菜の苗の買い物体験」は、私が思って以上に子供たちにとって緊張する活動だったようでした。
特に、カツちゃんは、教室で「買い物」練習をしていた時から不安を隠せず、お店の人の前に並んで順番を待っている間も、練習時に書いた買い物の言葉の紙を見ては、ずっと口をごにょごにょとさせていました。
無事に買い終えた後は、額に玉の汗を浮かばせながら、口元が少し緩んでいました。
約一か月後、打って変わったカツちゃんの姿を見ました。
同じ園芸店の方を「野菜の先生」として招聘した時のことです。
園芸店の方は、野菜の種類ごとに育て方を説明した後、一人一人を回って質問に答えながらアドバイスをしてくださいました。
どうやらカツちゃんは、この時を待っていたようです。一生懸命に「おたずね」をしています。
やがて休み時間になりましたが、カツちゃんは最後までその場に残って、育て方の相談をしていたのでした。「あの」カツちゃんがです。
「観点を用いた観察」は、ツカちゃんから
前の記事で、「葉の大きさ」「背たけ」「色」「葉の数」などを観点にして、子供たちが野菜の観察をしたことをお伝えしましたが、「観察には観点があり、観点を使って観察をすることで、野菜のことがみんなによく伝わる」ということを、みんなに「教えた」のはツカちゃんでした。
観察の数日前に、ツカちゃんが家で育てているミニトマトについて日記を書いてきたのです。
そこには、「…黄色い花が5つ、小さな青い実が3つなっています。/トマトが赤く大きくなったら…」と書かれていたのです。
「分かりやすい!」「なぜだろう?」「よく見て書いている」「どこを見ているのかな」「分かった!」「色だ!」「数だ!」「大きさだ!」と、なっていったのです。
「においも調べるといいよ!」と言ったのは、セイちゃんでした。
ちなみに、かきおわった観察記録は、互いに読み合って、「うまい!」「よく分かる!」と思った点を付箋に書いて渡し合いました。
この相互評価の方法も効果的だったようで、子供たちの観察記録は回を追うごとにどんどん向上していきました。
振り返りの子供たち
最後に、子供たちが単元の終わりに振り返りで書いた「分かったこと」「思ったこと」の一部分を紹介します。
全くアトランダムに選んでいます。「良いと思うもの」ばかりでは、ありません。