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とびらプロジェクト~とびラーになるまで#2

 この春から始めたいことの2つ目として、東京都美術館×東京芸術大学のとびらプロジェクトに参加すること、を挙げ、ひとつ前の記事で#1を書かせて頂いておりますので、先にそちらを読んでいただけると嬉しいです。

 #1の後半「とびらプロジェクト応募まで その1」で書籍のご紹介と自分のキャリアの整理と棚卸しを行ったことに触れました。

とびらプロジェクト応募まで その2 

 一方で、ホスピタルフォトグラファーとして、もっともっと、よりブラッシュアップして、出会っていないけれどホスピタルフォトの力を知ってほしい方へ届けるためには、何が必要だろうかと昨年から悶々と考えていました。
 今の仕事をしながらでも、もっとアートを全般的に勉強したい、本格的な芸術家としてでなくても、もっと市民よりでも勉強できるところはないか、という思いが、少しずつ強くなりつつあり、探していました。自分の基盤になる部分をより厚くして、その上でテクニックという引き出しを増やすためにもまだまだ基盤が薄いと感じていたからでもありました。
もちろん、この仕事を始める前の、こどもの頃から夢だった設計という仕事につくために、どっぷりと自分のエネルギーをひたむきにかけてきた建築の世界で学んだことも自分の今の基盤の一つ(ほとんどかもしれません。それくらいエネルギーを注いていたので…)です。笑
 そんな思いの実現が、2021年のとびらプロジェクトの応募を読んであらためて、私がやりたかったこと、勉強したかった場所だ!とまっすぐにドキュンと響いたのでした。

応募に伝えた思い

 ホスピタルアート、ホスピタルフォトで、長期療養中や入院中のこどもたちとその家族がもっとより豊かにそして楽しく、ステキな瞬間を得られるだろうということを広めたいこと、そのために自分がもっとアートとアートに絡むコミュニティ、人、に触れて経験を積みたいということが、第一の思いとしてであること、を限られた1枚の中に何度も何度も練り直して書きました。
 もう一つは、16年、前職で構造設計者としてどっぷりつかり、その間貴重な建築物にめぐり合わせて頂いた機会もあったので、そんな経験も自分の引き出しに眠らせてしまうのではなく、なにか使っていけないか、そしてそれが、次の自分のやりたいことにつなげていけるのではないかと考えました。東京都美術館の企画では、建物について触れることもプロジェクトとして多く、自分がアートとコミュニティを勉強していく一つのツールとして利用したいことを伝えました。

応募してみて気づいたこと

 大きく2つの思いをつらつらと応募様式に温めました。でもこの作業は、ホスピタルフォトグラファーとして今後どうしていきたいかをより深く考え、今の自分の頭の中にあるバラバラになっているものを整理できる良い機会になりました。

 学生時代に就職をするときに、いろいろ思いめぐらせるようなそんな時間は、40歳くらいになるとなかなか機会として減りますが、何か応募に調整するということは、結果がどうであれ、自分を振り返り、棚卸し、かつそれに向けてより深く考えて勉強する姿勢を持てることが、よいなあと改めて感じました。

2次選考までの時間

 選考形式は、1次選考が書類での審査で、上記ような思いを書いて応募しました。2月末に1通の封筒が届きました。何十年ぶりかの合否結果のドキドキの瞬間でした。書類選考は通過。この時点で想像を超える応募倍率であったことを知り、嬉しさと2次選考への緊張も走りました。
 面接に向けて、何かしたかというと、小手先の対策なんぞは存在せず、どうしようかと迷いましたが、やりたいことに向けての自分を少しでも厚くできるよう、本を読むことを中心に… コロナ禍でなければ、美術館に行って空間を味わう、アートを味わう時間もあり、だったのかもしれません。
 仕事の合間と就寝までの2週間の時間を使って… おすすめというわけではないのですが、、、
 ・『こどもホスピスの奇跡』
 ・『絵画の歴史~洞窟壁画からipadまで』
 ・好きな写真集の数々
この本がよい、ということではなくて自分を広げられるものをという感じで読んでいました。『絵画の歴史~洞窟壁画からipadまで』は、たまたまその期間に好きな写真家さんが、写真を勉強するときに絵画を勉強してみるのがおもしろいよ、歴史を知る意味ではこの本おもしろいよ、って教えてくれたので、すぐアマゾンで購入して読んでみた、というそんな軽さなのです。いつもの私ならば、書名をメモしてすぐに買ったりしないのですが、体が欲していたのかもしれません。笑
 写真集を浴びるように眺める、ということも、普段やりたいと思っていてもなかなか行動に移せていなかったので、この期間、時間をなんとか捻出して、思ったことを行動に移す、ということがとびらプロジェクトへの思いで、できたのかもしれません。それだけでも自分への財産です。
 2次選考は面接でした。サラリーマン時代に新卒採用の選考側の経験もありましたが、その時とは大違いで、東京都美術館と東京芸大の穏やかな自由な空気感が面接中にも広がっていて、ここでとびらプロジェクトに参加したい!という思いがより強まった時間でした。
 2次選考の面接だけで帰るのではなく、面接前の時間に、本物の屏風やタブレットを使用した美術作品の鑑賞を行い、”VTS”(Visual Thinking Strategy)と呼ばれる対話型鑑賞法に初めて触れました。VTSについては、また別に書きたいと思います。わずかな時間でしたが、これから始まるプロジェクトの一端に触れたような気がしてとても楽しい時間でした。
 面接の感触は、暖簾に腕押し的な、まったく手ごたえの感じないものであったため記念応募になってしまうことを覚悟し(笑)終わった感満載のまま、3月の桜の時期でもあったため、桜撮影に自分の頭を切り替えました…

とびらプロジェクト参加通知書

 3月下旬、通知が送られてきて、無事のプロジェクトへの参加が決まり、思わず、こども達に通知書をみせてしまったくらい、嬉しかったのでした…
とびラーと呼ばれているアート・コミュニケーターとして活動が決まり、最長3年間の活動が認められて、わくわくが止まらない瞬間でした。
 通知と一緒に同封されていたのは、アート・コミュニケータの登録用紙と、第1回の基礎講座としてオリエンテーションが行われるお知らせに、今後の日程が改めて記載されていて、面接のあと、可能性が低いと思って書いていなかったスケジュール帳への記入を嬉しさいっぱいにかみしめたのでした…

 ここまで読んでいただきありがとうございます。

 次回以降、実際のとびらプロジェクトとしての活動内容を書いていければと思います。

Instagram/Twitter/Facebook:@ishawaka
LINE:@277iamog
ご興味ある方は、ぜひのぞいてみてください。


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