相続ってどういうもの?亡くなる前にできることと後からするもの
ここでは相続の全体像を簡単に書いておこうと思います。
細かなことはそれぞれの説明の記事で書くことにします。
人は必ず亡くなります。科学がいくら進歩しても「死」からは逃れることはできません。
だとすると、亡くなる前から相続に関して準備できることはあるはずです。
実際には準備を思い立ったところから相続は始まると考えてよいかもしれません。
1.財産目録の作成
不動産を持っている場合はもちろん、通常の場合銀行預金は作ってあると思います。その全体をまとめておくことが必要です。
不動産の一覧、銀行口座(支店名や口座番号があると便利です)が代表的なものですが、負債つまり借金があればその銀行や金融機関もまとめておきます。
株式も同様です。株式はコンビニで売っているようなものではないですから、たいていの場合証券会社の口座を持っていることが多いです。取引は日々行われることも考えられるので、銘柄などの詳細は不要ですが、会社を経営しているような場合は非公開株式であることもあるので、その旨も整理します。
あまり知られていませんが、非公開の株式も金銭評価され相続税の対象となると同時に、相続資産の一つでもあります。
こうした資産を一覧表でまとめておくのが財産目録です。
遺言を書くかどうかは別として、財産目録の整備は重要です。本人しか知らないことはたくさんあるはずです。
最近では通帳のない預金も多くありますし、ネット銀行やネット証券などは整理しておかなければ後々発見することがしにくくなります。
以前、お一人暮らしの方の相続のお手伝いをした際に銀行預金が見つからず困った記憶もあります。そうした場合、スマホのアプリを探してみたり、取引可能性のある金融機関に照会をかけることになります。
財産目録が必要となるのは3つの場面であるといわれています。
一つは遺言を書くとき、もう一つは具体的に相続の手続きに入る時です。
さらにもう一つ、法律で定められている後見指定を受ける際にも財産目録は必須のものとなります。後見という制度は本人の財産を守る制度ですから、守るべき財産をきちんと明示できなくては守ることができないからです。
2.遺言
本人が自分の財産を円滑に相続人に相続させることができるよう遺言を遺すことができます。
いわば本人の最後の意思です。
遺言は法律では3種類の形式が想定されています。
・自筆証書遺言
・公正証書遺言
・秘密証書遺言
これらは別の記事で詳細に書くことにします。
3.遺産分割協議
亡くなった人を被相続人、それを受け取る側の人を相続人と言います。
遺言がなければ相続人は協議をして分配方法を決めます。これが遺産分割協議であり、それを書面にまとめたものが遺産分割協議書です。
協議をするには、相続財産全体を把握しておく必要があります。
遺産分割協議書は、実際に手続きをするときに必要となる重要な書類です。
4.相続手続
遺言や遺産分割協議が完了したら、それぞれの相続手続きに入ります。
銀行では相続窓口が一本化されていることが多く、いきなり窓口に行ってもすぐに完了するわけではありません。
短くても3週間、長ければ3ヶ月くらいかかることもあります。
最近では法定相続分の一部を先に払い戻すこともできますが、それでも書類を揃えて窓口の審査に時間がかかることがあります。
5.相続税の申告
亡くなって10カ月以内に相続税の申告をします。もっとも基礎控除額という一定の金額があってそのラインに届かなければ相続税の申告は必要がありません。ただし、生前贈与などがあれば申告は必要になります。
(このあたりは税理士さんの専権になりますのであまり深く書きません)
6.その他の相続
ここまで書いてきたのが一般的な相続の大まかな流れですが、その他にも手続きはたくさんあります。
・死亡届や各種年金等の処理
・公共料金の支払者の変更
・保険金の請求
・個人事業主としてお店をやっていればそれを誰が承継するのか、廃業するのか。
・賃貸物件の解約もしくは継続契約
・自動車の名義変更(これは相続財産に入れることが多いです)
などなどかなりの手続きが必要となります。
終わりに
上記のほとんどの仕事を行政書士がお手伝いすることができますが、不動産相続登記と相続税関係は手を付けることができません。
次の記事では相続がこれほど注目されている理由を書いてみようと思います。