法定相続分と遺留分

民法では明確に相続する割合が記載されています。
法定相続分とよばれるものですが、基本的に相続人全員の協議で様々な割合で相続することができます。
金銭、たとえば銀行預金であれば分数で割り切れますが、不動産は分割することはできません。
もちろん共有相続することはできますが、あまりお勧めできません。これはあとで理由を書きます。

相続というのは中世からあったといわれています。
明治時代に家督制度を中心とした民法が制定され、家長が代々受け継ぐ相続制度が採用され、戦後男女平等を原則とした均等相続制度が採用されて現在に至っています。

個人的な意見ですが、家族相続から長子相続、そして現在では法定相続という流れがあって、現在では法定相続が基本と考えられています。


法定相続分

基本的に配偶者がいればどんな場合も相続人となります。それに加えて3つの場合が規定されています。

1.配偶者と子どもの場合

配偶者が1/2
子どもが1/2
子どもが複数いれば1/2を人数分で均等に分割します。

2.配偶者と親の場合

配偶者が2/3
親が1/3
これも親が二人ともご存命なら均等で分割します。

3.配偶者と兄弟の場合

配偶者が3/4
兄弟姉妹が1/4
同じように兄弟姉妹が複数いれば、人数分で均等に分割します。

この3パターンが基本となります。残された親族関係によって相続人の範囲と割合が決まってきます。

法定相続分は遺言や相続人の分割協議である程度自由に決定することができます。
ですが1と2の場合のみ、つまり子どもや親には遺留分というのが認められています。

遺留分

一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合を遺留分と言います。
相続人同士で話し合う場合には、一定の割合は必ず相続分を渡さなければならないということになります。

遺言で例えば一人の人にすべての遺産を渡すという意思表示をした場合でもその遺言は有効で、その一人の人にすべての遺産が渡ることになります。
そこで、その他の相続人(配偶者もしくは子どもや親)が全く相続することができない場合に、最低額を相続した人に請求することができます。
この最低額が遺留分と呼びます。
その請求する権利を遺留分侵害請求権といいます。以前は遺留分減殺請求権などと言ってましたが、少しわかりやすい言葉になりました。
自分が相続できなくても問題ないと思うなら別に請求しなくても構いません。

つまり、兄弟姉妹には遺留分がないことになります。
遺言を遺す大きな理由がここにあります。

配偶者と兄弟姉妹はいるけど子どもがいない。
こんな場合、法定相続だと兄弟姉妹にも法定相続分があるので、すこし面倒になります。
兄弟姉妹がいったん法定相続してしまうと、その兄弟姉妹が亡くなった場合、その配偶者が法定相続人になってしまうことになるのです。
極端な言い方をすれば遺された家族からするとその配偶者は他人です。また、兄弟姉妹でも仲がいいとは限りません。
多少なりとも財産がある場合、他人に近い人が遺産を奪い合うことになるという状態は、望ましいことではないかもしれません。

その他にも代襲相続とか数次相続とかで複雑になるケースがかなりあります。
相続人は家族以外を含めて増殖する。すみません。言い過ぎですかね。
ただそういう相続もたくさんあるのも事実です。

次からは遺言について詳しく書いていこうと思います。

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