緒方貞子先生 9条への思い
緒方先生。
このシンポを最後にお会いしていなかったんだ…もう12年以上。
朝日新聞シンポジウム 「討論:日本の新戦略『地球貢献国家』をめざして」
2007年5月26日(土)
http://www.asahi.com/sympo/070627/?fbclid=IwAR18EmPhm2mO0fULqng4aa7kXPmgvCA9OPpiU-I34tShCEZ6IyxF-7NaNbQ
ジョセフ・ナイなんてどうでもいいんだけど、今これを読み返すと、憲法9条について、緒方先生も僕も面白い議論をしていたのだな。
やはり緒方先生はこの世代の人権派のシンボルみたいな存在だから、憲法9条に思い入れがあるのは当然すぎるほど当然。このシンポでの発言でもそれが伺える。
急速にその質が変化する国際紛争に対して、平和構築のために日本が積極的に関わるために9条の改正が必要とする五百旗頭さんに対して、緒方先生は「憲法を変えなければできないことではないと思いますね、これは。」と仰っている。【上記リンク(7)】
僕もこのシンポ以前は「9条の矛盾はまだ許容範囲」「9条には愚かな政治判断のブレーキを期待するしかない」みたいなことを言っていた。(武装解除:講談社現代新書)
しかし”自衛隊がいるから非戦闘地域”で日本の世論を呑んでしまった自衛隊イラク派遣。「国際法への矛盾をかかえたままの9条のブレーキは効かない」という僕の思いは決定的になり、このシンポでも小泉政権の”罪深さ”を言っている。【上記リンク(8)】
シンポ終了後、緒方先生は、僕のこの発言の確認をしたかったのだろう、二人で立ち話をしながら控え室に戻ったのを覚えている。内容は覚えていない。でも、落ち着いた声で「ウンウン」だけ耳に残っている。
その後も旧民主党政権を経て、自衛隊の海外派遣はどんどん加速し、9条のブレーキは完全に擦り切れ、国際法に対する憲法9条の矛盾はもう限界を超えたと、改憲の必要性を表明し出した僕は、先生にどう映っていたのだろう。
「保護する責任」「住民保護」の名の下、先制攻撃まで許されるようになった国連PKOのこと。そして、半永久的な軍事拠点になった自衛隊ジブチ駐留。緒方先生の命であった「人権」を、国家の自衛権の根拠にすることを”人権派”が許容するようになった現在の日本。いろいろ議論したかった。
合掌。