ハッピー・ニュー・イヤー、そしてハッピー・オールド・イヤー
びっくりするほどヌルッと2021年がはじまった。やっぱり、帰省とか旅行とかイベントごとで新年を感じていたんだなとしみじみ。大手を振って会いたい人に会えないのは寂しいけれど、これはこれでアリかもしれない。
去年のお正月はタイのバンコクを一人でフラフラしていた。少し足を伸ばして、アユタヤ遺跡まで国鉄でいきレンタルチャリで爆走して遺跡を見たり、象に乗ってみたりしていた。日本の夏とはまた違う、ジワりとする空気感がなんだか懐かしい。
そんなことを思い出したのと、いつまでも大掃除が進みそうにないことに嫌気がさして年末に『ハッピー・オールド・イヤー』を見に行った。今までそんなに映画館という場所は好きじゃなかったのだけど、2020年はほぼ人がいない映画館に時たま行くようになり、映画館が結構好きになってしまった。こんなことってあるんだね。
『ハッピー・オールド・イヤー』のあらすじ
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留学先のスウェーデンでミニマルなライフスタイルを学んで帰国したデザイナーのジーン。かつて父親が営んでいた音楽教室兼自宅の小さなビルで、出て行った父を忘れられずにいる母、ネットで自作の服を販売する兄と三人暮らしの彼女は、ある日家をリフォームしてデザイン事務所にするべく、断捨離を開始する。
洋服、レコード、楽器、アルバム—— 友達から借りたままだったモノを返して廻り、元カレのカメラを小包にして送り返す。部屋が片付いて行くのと反比例して、心は千々に乱れて…。
時は年の瀬、ジーンは新たな気持ちで新年を迎えることが出来るのか?
http://www.zaziefilms.com/happyoldyear/
(公式HPより引用)
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※以下、ネタバレを含む感想です
登場人物の顔立ちだとか、そういうものが私の思う「タイ」感と少し違っていて興味深かった。私の感覚がズレているのか(海外の人が思う日本が日本人から見たらちょっと違うみたいな…)、これが現代のタイの憧れ像なのかしら…?と思ったりした。友人の女の子が、坊主ヘアーに大きいピアスしてたのはめっちゃクールだったな。街並みだとか、そういう空気感みたいなものは昨年の旅行で見た風景が想起された。あと余談だけれど、断捨離の話の流れでこんまりが出ていてびっくりした。本当にもう、世界のこんまりなんだ。
主人公、極端に物を返してなさすぎなのだけれど、「いや、私も人に返していないものあるなぁ」なんて思いながら見ていた。マンガ、本、ホームプラネタリウム、彫刻刀とか…。借りっぱなしの皆さん、ごめんなさい。
物があれば、そこにまつわる思い出がある訳で、それにわざわざ向き合うなんて気力がいる。全部物が無くなったら、確かにきれいさっぱりするかもしれない。でも、気持ちが追いついていかないことってあるよね…。ポスターにも「人の気持ちは簡単に仕分けられません」なんて文句があるが、本当にそうだなと思った。
最後に、友人から色んなことは片付いたの?と聞かれた時に、本当は悲しい気持ちでいっぱいなのに、少し目を潤ませながら、でも平然と「全部片付いてもう大丈夫」ということを答えた主人公。それを見て、みんなそれぞれの悲しみとなんとなく付き合い続けていくしかないんだなと思って、切なかったけれどよかった。
向き合おうとか、はっきりさせようとか、忘れようというアプローチによって明日の自分は傷付いていても、もっと先の自分、登場人物たちにいつか救いになるといいなとも思った。
今年こそは色んな物を片付けて、引越しをするぞーと思っている。引っ越しをしたって、別に何も変わらないかもしれないけれど、やってみたいことはやってみた方がいいって結構分かってきましたからね。2021年の、正直かなり面倒で、でも楽しみな予定。
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