ネガティブ最強説
ポジティブシンキングで、プラス思考でいよう、といつの頃からか後ろを向くことが良くないというような風潮になった。
私は逆境に弱く、自分の言動をふりかえることも苦しくて耐えられない。だからポジティブでいようよ、という世の中の流れは救いではあった。そうか、逃げていいのか、ふりかえらず前を向いていればいいのか。なんてすてきな思考。私はその考え方を得てから、夜に得体の知れない大きな恐怖に襲われて眠れないこともほとんどなくなったし、人の目を過度に気にして辛くなることも減った。生きやすくなった。そうなんだと思う。
私の周りにはネガティブ思考の人がたくさんおり、悩みを伝えてくれる。大丈夫だよ、やりたいようにやればいいよ、と励ますが、心の奥底には実は少し憧れがある。そうして自分の弱さと向き合える強さに、そして素直にそのことを周りの人に話せる素直さに。
私は弱くて脆い。でもそれを外に出すことができなくなっている。元気で前向きで強い人だという印象を、もう覆すことはできない。重い役割へのプレッシャーが夢にまで出てきて眠れないこと、過去の自分の言動をふいに思い出して布団にもぐりこんで耐えること、頭の中に周りの人への不満でいっぱいになることは、誰にも言えない。
素直に周りに苦しいと言える人、私なんかダメだと話せる人、実はそんな人が一番心が強いんだと思う。私はその枠には到底入ることはできないから、自分はポジティブで最強だと、自分に言い聞かせながらこれからもネガティブな人たちを励まし続けるだろう。