犯罪抑止セクサロイド考
本日はちょっと気持ち悪い話になっております。
性犯罪や、その他犯罪についての話題になっておりますので、そんな胸が悪くなるような話は嫌だな、というかた。本日はここまで、ということで。
よろしくお願いいたします。
性犯罪防止、または抑止について考えておりまして。
性犯罪者というのは、これはもう一種の病気もしくは人格障害であろうと思っています。
窃盗などの犯罪には、それなりの防止、事前の対策も講じられますが、性犯罪に関しては、なんせ「ところ構わず」の人々ですから、抑止どころか防止も難しい。
その病的な心理状態を考えると、力づくで押さえ付けるにも限界がある。
なので、その異常な欲動を解放する方が、現実的な「防止策」になるのではと、昔からぼんやりと考えております。
フラットな見方をすれば、異常であろうと正常とされる範囲内であろうと、人間にとって欲動は、本人にも制御が難しいところがあります。
正常異常を問わず、自分自身でもままならない衝動が人にはある。
その「現実」は否定できない。
そういうものを倫理道徳または法律で「ならぬもの」と抑圧することには限界がある。
無くそうとしてなくせないものなら、少しでも発散させれば、人間への害をなくせるのではないか——という発想に行きつきました。
それでだいぶ昔から、性犯罪者とその予備軍に対して、セクサロイド——セックス用人型ロボットの利用は効果があるか? となどと考えておりました。
昔は、セクサロイドなんてのは全く妄想の域を出ない話でしたけれど、現代ではかなり技術的な進歩が見られ、現実離れした妄想ではなくなりました。
そうやって実現可能なフェーズに入った数年前、科学者からは、セクサロイドへの真剣な反対意見が出てきたんですよね。
もはやセクサロイドの実用が可能になると、リアリティを持って考えられるようになる。
そうしますと、その利用によって人間社会に有害となる側面が考えられる——と言われたわけです。
わたしが想定したのは「対・犯罪者」だけでしたが、科学者のご意見にあるのは、一般市民に広く利用されること。
それによって考えられる悪影響も、聞けばもっともなことだとは思いました。
それも考えていく必要があるテーマでしょうが、ここではひとまず「犯罪抑止効果」についてのみ、考えたいと思います。
ということで。
変態性欲者にセクサロイドを与えれば、その異常性を発散させることができ、生身の人間への害をなくせる、つまり犯罪に至るのを抑止できるか、と考えたんですが。
ダメかもしれませんね………
他人に対する害意はなく、いささか特殊な「好み」を持つだけの、「良心的な」人物についてなら、その欲動を発散させることは有意義であろうと思われますが。
犯罪者ってのは結局——「悪意」なんですよね。目的は。
性欲が強いとかそーゆー問題ではない。
その根底にあるのは「人を傷つけたい」という、悪意。
人ではないセクサロイドでは、その悪意を満足させることはできないでしょう。
人を傷つけたい、苦しめたいと欲する悪意は、やはり、対象は人でなければならない。
そう考えると、結局、性犯罪の本質は「悪意」だということも、逆にはっきり見えてきました。
性犯罪の本質は性欲だと思うひとは多いでしょうが、実際は違う。
性欲は「道具」に過ぎず、犯罪の目的はなんであれ他人を傷つけ苦しめることにあります。
なので、セクサロイドがあれば性犯罪防止につながるのでは、という発想は、我ながら甘かったな——という結論に至りました。
ところで。
テーマが性犯罪でセクサロイドがどうのこうのと喋っていると、犯罪者は男性、セクサロイドもガイノイド(女性型アンドロイド)だと無意識にお考えの方も多いかと思いますが。
そうでもないんですよね。
性犯罪被害は、もちろん女性が圧倒的に多数ではあるでしょうが、実際には、子どもを含めて男性被害者はいらっしゃいます。
加害者についても同様で、本質が悪意だというのを見ればわかる通り、こちらも男性に限った話とは申せません。
仮に、セクサロイドでその犯罪者の欲求を「発散」させようというのを徹底すると、何が起きるかというと、アンドロイドの「人間化」が容易に想像できます。
機械に、限りなく人間らしいことを要求することになる。
その行き着く先は、映画「イノセンス」になるんだろうなあ、と思うと、背筋がぞっと冷たくなりました。
(参考: 映画「イノセンス」wikipedia)
悪意は、結局は、どんなに理性的に、あるいは「現実的に」対応しようとしても、人を傷つけることをあきらめることは決してないのだろう。
そう思いますと、人間というものへの絶望につながっていく。
そんな気がいたします。