出物腫れ物 ところ嫌わず
ちょっとした発言が原因で、所属していた事務所を解雇されたフリーアナウンサーさんのお話を聞きました。
そういえば何日か前に「清潔感」の話でペケったーで盛り上がっているのを見たっけなと思い出しました。
実際に清潔にしているのと、清潔「感」は違う、というようなお話で軽くやり合っている、コメントの応酬が、TLをかすめて流れていったんですよね。
そのときは、うんまあそうですねえと思っただけでしたが。
あれは本流から分岐していった支流のようなもので、本題は確実に炎上状態になっていたんだろうなと拝察します。
聞けば、元の発言をしたのは女性。
発言内容は、人様の体臭について、苦手だと「感想」を述べた。
感性の違いってあるもので、わりと平気な人と、敏感なタチだという人はいる。それは仕方ない。
ご発言の言葉も具体的に聞いたけど
「これのどこに炎上の要素が?」
と思いました正直。
しかも「ご事情があることならごめんなさい」とちゃんと一言添えていらっしゃる。
実際、病気のせいだったり、体質だったり、服用する薬の影響だったり、ってことがありますもんね。体臭については。
これで事務所解雇ってなんで? ——というのがわたしの「感想」です。
これは炎上というものを極端に「怖がる」企業側に原因がありそうですねえ。
「なんでこれが炎上?」ってことは企業CMでは繰り返されていますし、企業側がそれこそ過敏な反応をする事情はあるのかもしれません。
しれませんが、この場合、所属先の対応としては、このかたの発言に問題があるなら、それを指摘したうえで指導監督、必要なら謝罪する、本人に対しては謹慎なり減給(?)なりの対応を取る、というのが妥当なところではないでしょうか。
失言は誰だってやらかします。
それを、他の処分を検討するでもなくいきなり解雇では、「こんなことでも解雇されるのか」と、多くの人を萎縮させるだけではないでしょうか。
それに。
この発言の、何がそんなに問題だったのかがわたしにはイマイチわかりません。
どう読んでも、特定の個人や団体の悪口を言っているわけではない。
この人個人が、「においが苦手」だというだけのこと。
強いていうなら、そのにおい対策としてこういうことをしてもらいたい、というのは余計だったのかもしれないなとは思いますが。まあそれくらいです。
「男性の体臭」としたのが性差別と非難されたようですが——うーん。まあそうなのかなあ。
だとしてもいきなり解雇は流石に行き過ぎではないかと思います。
事務所の相応の地位にいる男性に刺さりまくったので怒られたのかなと邪推してしまいますね。
つまり解雇の理由は「私怨」ということになります。
さすがにそれはないだろうとは思うけど。
過去にも同様の問題(男性差別)を繰り返していた、その都度、指導をしてきたが、……ということならまだわかるんですが、今回のこと「だけ」の判断だとすると、事務所側の対応には、やはり疑問符がつきますね。
世の中にはパワハラしてもセクハラしても社内不倫をしても、平気で在籍を続ける(それが許される)人も大勢いるのに、と思うと(これはこれで問題ありですが)、ちょっと今回の対応は極端すぎませんかと思いました。
ところで男性の体臭。
女性にももちろん加齢臭その他はあります。
男性の場合は皮脂量が多く、また、汗をかきやすいのは男性のほうではあります。
(男性は気温30℃で温熱性発汗が始まりますが、女性は32℃です)
これは身体上の性差ですから仕方ない。
だからって、体臭がきつい女性がいないということはない。
状況、環境、条件によって体臭がキツくなることは女性にもあります。
汗が直接におうわけではないので、それなりに対応することは可能。
であれば、女性男性問わず、マナーとしては必要かと思います。
どこまで気を使ってどこまで制汗に努めるかは、これまた個人によって考え方が異なるので、一律に決められることではありませんが。
あとはもう「お互い様」の気持ちで、対策することも、気にはなるけど黙っていることも、双方の歩み寄りでどちらも必要なことではないでしょうか。
汗をかくのも、それが原因でにおうのも人が元気で生きてる証拠。
この炎熱の夏に汗が出ないなんて言ったら、それこそ命に関わります。
とはいえわたしも、ちょっと間が悪いことがあって人の体臭で気絶しかけたことがあるから、これはこれで、苦手とおっしゃる人の気持ちもわかります。
出物腫れ物、所嫌わず、という言葉がありますし、「お互い様」で生きていくのが一番いいのでは。
今回の件で思うのは、
「感想もおちおち言ってらんない社会は、健全な社会と言えるのだろうか?」
ということ。
そもそも炎上ということ自体に疑問があるし
それへ迎合する形で短絡的に解雇という判断をした企業側にも疑問が残る。
そんなふうに思いました。