【ショートショート】オアシス
探検家は砂漠のバザールで古いオアシスへの地図を見つけた。地図の印を頼りに砂漠を歩き続けた。しかし、そこにあったのは日干し煉瓦で造られた粗末な井戸だった。井戸は枯れていたが奥底に箱があり中には本が収められていた。タイトルは『オアシス』探検家は「悪い冗談だな」と呟きながら本を開いた。すると、すぐに物語に引き込まれた。文字を追ううちに、いつの間にか探検家の心は潤い、満たされていった。
最後のページを捲ると古い地図が滑り落ちた。それはバザールで手に入れた地図に似ていて、同じように印がある。そして『桃源郷』と記されていた。