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2020年10月25日 海にて、ウイスキーの香りを届けたかった

百箇日。
きちんとその人の旅立ちと向かい合い、送り出し、振り返り、涙して、それを繰り返して100日が経ったなら、気持ちの区切りをつけるきっかけとなるタイミングとしての法要なのだろう。
けれど、家族でもない、詳しいこともわからない、向かい合うことも送り出すこともできていない春馬くんの百箇日は、まだ気持ちの区切りをつけるタイミングといえる状況にない、というのが本当のところ。

TVを見ていても、この俳優さん春馬くんと共演していたな、とか、眉や鼻筋や頬骨、春馬くんと近いものがあるのかもな(整った顔って共通するものがあるんだろうなと最近よく思う)とか、そんなことばっかり考える。
こんな風なTVの見方は精神衛生上良い状態ではないのかなと思うけど、でも、なんとも思わず、春馬くんのいない世界をなんとも思わずTVを見る日が来たなら、それはそれで寂しいなとも思いながら。

今朝起きてとても天気が良くて、さすが晴れ男の百箇日と思ったらなんだか嬉しくなって、急に家族を巻き込んで海に行くことにした。
拓ける視界と海の香り、塩分を感じる風、響く波の音、春馬くんが実際に訪れた茨城や千葉の海ではないけれど、全てを包み込み飲み込むその大きさに安心感のようなものを感じながら、波打ち際から少し下がった場所に腰をかける。

「足首まで」という約束なんか音速で破りこちらの声なんて届かないくらい楽しげに遊ぶ子どもたちを目の端で見ながら、ずっと、水平線とそこから起こる波、それが足元に届くまでを眺める。
その大きさを、抗えなさを、眺める。

ちょうどいい入れ物がなくて、風邪の時のためにと買ってあったユンケルを無駄に飲み、その空き瓶を洗ってこっそりほんの少しだけラフロイグを入れて持っていった。サーフィンや波打ち際での遊びを楽しむ人が思いの外多かったから迷ったけど、波打ち際で波が引いた砂にほんの数滴落とす。サッと広がりアルコールはこうなるのかと思うまもなく次の波に飲み込まれる。瓶に残った一滴で唇を湿らせる。

春馬くん、ラフロイグの香り、届いたかな。
香りのクセの強いお酒、初めて戴いたよ、そのままだったからお酒が飲めない頃無理して飲んだアルコールの熱い味を思い出す。炭酸で割ってもきっと香りを楽しめるね、美味しいものを教えてくれて、ありがとう。大切に飲むね。

そんなふうに過ごした百箇日。
思い切って足を運んで体感できて本当によかった。
まだ、特設サイトに思いを綴りに行けないけど、明るくキラキラ光る海、好きなことを心から楽しむ笑顔の春馬くんが見えたようだった。
急な思いつきに付き合ってくれた夫と子どもに感謝して。
今日つけられなかった気持ちの区切りは、この先いつのタイミングでつけたらいいんだろうと頭の隅で考えながら。

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