「柔和で鈍い光」
2024年 11月
友人の哲学者、鷲田清一さんが、新聞に『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』をしっかり受け止める感想を書いてくれた。
映画『大好き』は、奈緒ちゃんの持つ《柔和で鈍い光》に、奈緒ちゃんの家族や周りの一人ひとりが包まれていくプロセスの記憶をトリトメモナク語りかける物語と言えるかもしれない。
《柔和で鈍い光》は寄り合い、耳を澄ますことで初めて感じとれる「光」なのだと思う…。だから50年の時間が必要だったんだなあ、と今更のように自作を振り返る。
奈緒ちゃんの「いのち」に寄せる絶対的な肯定感が「鈍い光」となって、お母さんを、家族全員を支える力となり、映画を創り続ける力ともなったように思う。
そして、上映が始まった今、その「光」は映画を観る一人ひとりをスクリーンから包み込む力となって、多くの人を支えようとしている…。
《弱さの力》、弱さにこそ、力がある。奈緒ちゃんに限らないとは思うけど、弱い存在の持っている力、もっと言えば、駄目な自分、どうしようもない自分の中にある「弱さ」こそが「光」なのだ、と気付く時に力が湧き上がってくるように思うのだ。
夏に始まった映画『大好き』の上映活動、秋になって各地のミニシアターでの上映巡業を続けているところです。集客が必ずしも芳しくない時もあり、ひどく落ち込んだりしながらね…。
でも、そんな時こそ、 《弱さの力》が湧き上がるチャンスなのかもしれない。
そう思おう。
「長くは生きない…」と言われた奈緒ちゃんが50年生きたことで問いかける生きることの意味、「いのちは生きる方向を向いている」という強い肯定感が、大きなうねりとなって押し寄せてくるような映画、『大好き』。
そのうねりの合い間に聴こえてくる呟き、奈緒ちゃんの祈りの言葉、《やさしくなあに》は、《弱さの力》を奈緒ちゃん語に翻訳したメッセージなのだ。
「やさしくなあにって
言わなくちゃ、ねえ…」
《柔和で鈍い光》
《弱さの力》
《やさしくなあに》
映画『大好き』のキーワーズだ。
秋から冬にかけて、自主上映の呼びかけにも
前ノメリになって取り組もう。
50年かけて創り上げた映画『大好き』を、一人でも多くの人に観てもらうべく、シャニムニ頑張らなきゃ…。
自主上映のお力添え、よろしく…!
(かんとく・伊勢真一)
映画『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』上映情報
劇場上映
山口◆YCAM(ワイカム) https://www.ycam.jp
11/27(水)〜12/3(火)
10時30分〜 ★11/27(水)上映後、伊勢監督トークあり
Tel. 083-901-2222
大分◆別府ブルーバード https://www.beppu-bluebird.info/
11/29(金)〜12/5(木)
11時〜 ★11/30(土)、上映後伊勢真一監督トークあり
Tel. 097-721-1192
その他、広島・横川シネマ/富山・ほとり座/藤沢・シネコヤ/新潟・シネウィンド 他(上映予定)
【いせフィルム】
TEL:03-3406-9455 WEB:http://www.isefilm.com
自主上映会
◆11/23(土) 岡山・笠岡市 敬業会
『大好き』
◆11/29(金) 福岡・北九州大学
『大好き』17時〜 ※上映後、伊勢監督のトークあり
問合せ:tel.080-8371-8654
◆12/15(土) 千葉・市川市 てんかん協会クリスマス試写会
『大好き』14時〜 ※上映後、伊勢監督と西村信子さん(奈緒ちゃんのお母さん)のトークあり
問合せ:tel. 090-3047-6501(永島)
◆12/25(水) 東京・シネマ・チュプキ・タバタ
10時30分〜『奈緒ちゃん』 ※上映後、伊勢監督のトークあり
13時〜『大好き』 ※上映後、伊勢監督のトークあり
問合せ:tel. 03-6240-8480(シネマ・チュプキ・タバタ)
03-3406-9455(いせフィルム)
◆(2025 年)
1/25(土) 滋賀・びわこ学園 『大好き』
3/ 2(日) 滋賀・びわこ学園 『大好き』
その他の作品の上映予定
◆11/24(日) 山口・光市 社会福祉協議会
『やさしくなあに』
9時20分〜/11時30分〜
問合せ:tel.090-3695-6621
【いせフィルム】
TEL:03-3406-9455 WEB:http://www.isefilm.com
各上映の予定は変更になる場合があります。詳細は各問合せ先または、いせフィルムのHP(www.isefilm.com)や X(@isefilm)等にてご確認ください。