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2022年 11月 「わたくしは死んではいけない わたくしが死ぬとき あなたがほんたうに死ぬ」 つい最近の新聞紙上で、永田和宏さんという歌人が亡き妻のことを歌った短歌が、目に止まった。 丁度インドネシアでの、自作『いまはむかし 〜父・ジャワ・幻のフィルム〜』の上映巡業から帰った頃だった。戦時中、父が三年半にわたってインドネシアで国策映画を創り続けたことを描いた映画だったので、もう遠い昔に死んでしまった父が行きたかったに違いないインドネシアを、80年ぶりに再訪する旅
2022年 9月 夏から秋にかけて、週末巡業が続いた。 どこも、とてもいい雰囲気の上映会だった。 お客さんの人数は多くはないけど、上映して良かったと思える、いい集まりばかりだったように思う。 新作『いまはむかし』は公開して一年経ったけど、何故か、ここへ来てメディアが盛んに取り上げてくれている。「戦争」に対する危機意識のようなものが拡がっているからかもしれない。 国民の多くが反対しているにもかかわらず、強引に元総理の「国葬」をやるゴリ押しの政治姿勢が顕著になったのは、
2021年 9月 新作「いまはむかし ~父・ジャワ・幻のフィルム』の上映が始まった。 「コロナ禍」のこんな大変な時期に、なんで公開するんだ…という声の中で善戦した。お客さんが来ないことには、けっこう自信があるんだと、いつもエバッテるんだけど、三週間の封切りの最後の頃は珍しく、ほぼ満員だった。ありがたい。 映画が一人ひとりに届いたかどうかが重要だ、という意味では、手応え充分だった。毎日のように劇場に通い、上映後に扉から出てくる方々の反応を見ているとよくわかる…「しっかり
2021年 8月 もう50年程前に死んでしまった父。 伊勢長之助のことを、しきりに考える夏だった。 記録映画の構成・編集者だった父が、戦時中にインドネシアでかかわった国策映画のことを描いた新作、『いまはむかし〜父・ジャワ・幻のフィルム〜』の試写会に取り組み、父の写真と向き合っていたからかな。 映画の中で使った父の写真は4枚。 一枚は、日映ジャワ支局のスタッフとの集合写真。 一枚は、国策映画の撮影現場でのカメラマンとの写真。 一枚は、生涯一筋にやり続けた編集作業中の写真。
2021年 7月 「伊勢さん、これ遺作ですか?」 試写を観た、私の作品をずっと観てくれている友人が、唐突に言った…。 新作『いまはむかし −父・ジャワ・幻のフィルム−』のプレス関係者試写と完成上映会が始まった。本格的な上映は秋からだが、この段階での感想はとても気になる。そして、励まされもする。 子が親と正面向かって対峙し、そこから自分とも対峙して、越し方を見つめ直す作業をされたのではないかと…。“戦争中のことは思い出したくない”という現地の女性の言葉が刺さります。 広