10年後のみずうみは

10年前に学級委員長だった彼は
髪型も考え方もカクカクした男の子で、メガネをしっかりとかけたまま、いつも綺麗に体育座りをしていた。
賢くてみんなの憧れだった彼と
中学、高校を共にした。

中学の頃には、氷のような頭の中も、徐々に溶け始め、穏やかな湖となり、多くの人を受け止め、広大な水の流れとなって沢山の人を惹きつけた。

その穏やかさを利用された高校時代、彼の湖は猜疑心で濁り、枯渇した。誰も荒地には見向きもせず、私が足を踏み入れた時には既に手遅れだった。

今その渇きを癒すために、多くの人の温かい言葉を求めている。
何度渇いても良い。
その度に水を注ぐから。
再び溢れんばかりの輝きと潤いに、彼の心が満ちますように。