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飾らない言葉で、飾らない心で

 何の気なしに卒業アルバムなんかをめくっていたら文集が出てきた。これは19歳の冬に、たまたま岐阜県にある関市というところで毎年行われている新春文芸作品展というものを見つけて、気まぐれに詩を応募してみたら届いたものだ。僕は文章を書くのがそれなりに好きだが、公募というものはなかなかにハードルが高く提出するのに勇気がいることだ。だから受賞のしらせを受けた時は嬉しかった。ちょうどコロナ禍で表彰式はいけなかったけれど、何かの縁で発掘したのでここに供養したい。



久しぶりに飲んだ大根のお味噌汁は
塩分控えめ 大根は甘くて
僕はゆっくり飲み干した
きっとこれが無添加の味
きっとこれが飾らない味

換気のために窓を開けると
そこには明るく丸い月
そこには冷たい秋の風

自然は、大自然は、この夜は、やはり無添加で
僕の言葉ばかりが飾られている

世界のカタチはシンプルで
純粋で素朴で美しく
しかし僕らの言葉が、言葉がそれを変えてしまう

僕は自然を愛したい
僕は世界を愛したい
僕は自分を愛したい
僕は君を愛したい

飾らない言葉で
飾らない心で



この回で市長賞を取られていた吉岡さんや議会長賞を取られていた三宅さんの詩は愛おしいものだったので、ぜひ一度お話ししてみたかったのだが、関に行くことかなわず。もしかしたらnoteをやっているのではなかろうかと思いましたが、またいつか巡り会える日があれば、他の作品なんかも見せてもらいたいものです。

立派なものです

 詩の制作秘話を話すと、僕はそもそも創作に時間をかけないタイプで、割と考えなしにガーっと書いてしまうので、これもメールに直打ちして15分くらいでぱぱっと書いたものだったと思う。ただ、送るかどうかで非常に悩んで1時間くらい葛藤した末に「えい」と押した記憶がある。

 この時僕が心の中で感じていたことは「雄大とか壮大とか、荘厳とか、そういった語彙では本当に素晴らしい自然を表しきれない」という感情で、それは生活の中でも同じだということだ。飾らない気持ちがあるとして、それを伝える時に言葉を使うことで認知を歪めてしまう。だからできるだけ飾りたくない。心も言葉も。という考えで生み出した。なかなかスカしてて恥ずかしいものだ。ただ関の人だけじゃなくてここの人にも読んでもらいたいので共有っと。また「公開」を押すかどうかで小一時間悩みそうだ....

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