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ワークショップ7 「人材育成の未来:HRスタートアップが起こすイノベーション」

2021年度第7回レギュラーワークショップ

【テーマ】「人材育成の未来:HRスタートアップが起こすイノベーション」
【概要】スタートアップを⾃ら設⽴することを想定し、そのスタートアップが実施すべき人材育成ビジネスのアイディアを創出する。そのアイディアを実現する本格事業、それに るプロトタイプ事業、導入事業を設定し、プロトタイプ事業の事業計画を提案する。

【ファシリテーター】堀井秀之(i.schoolエグゼクティブ・ディレクター)
【会場】Zoom
【WS期間日程】 10月6日から12月15日までの全10回構成

※ i.schoolのプログラムにつきましてはこちらをご覧ください。

【2021 WS7 準備会(10/6)】

WS7準備会では、WS7の概要を共有したのち、グループごとのアイスブレイクを行いました。

①WS7の概要
コロナ禍での社会変化により、人々に求められる能力や資質も変化した昨今、採用、企業教育等にも大きな変革が求められるようになった。既存のシステム転換はコストが大きいため、人材育成に大きなビジネスチャンスが期待される。
これらの背景を踏まえ、今回のWS7では、各グループのメンバーでスタートアップを設立することを想定して、そのスタートアップが実施すべき人材育成ビジネスのアイディアを創出する。
創出したアイディアを実現する本格事業を想定し、プロトタイプ事業、導入事業を設定し、事業計画を計画する。

②グループごとのアイスブレイク
各チーム(5~6人)ごとに分かれ、自己紹介をしたのちチーム名を決定した。
自己紹介は、自身の強み、弱みと好きなことなどを中心に発表した。
私たちCチームは、各々強みがばらけていて、その強みが混ざりあえば、より良い成果物がアウトプットできるのではないかという議論の末、ibibimbapというチーム名になった。裏テーマとして、最後のワークショップ後にビビンバを食べに行くという熱いイベントの約束もした。

以上が WS7準備会の活動内容です。
WS7は今までのWSと比べても長期戦であり、メンバー間のチームワークとコミュニケーションがより高いレベルで求められます。
HRとDXのテーマは非常に興味深いので、WSを楽しみながら学んでいければと思いました。

北川 貴一
早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 修士1年
2021年度i.school通年生

▲アイスブレイクと、チーム名決めの様子▲

【2021 WS7 Day1(10/13)】

1日目では、①社会のニーズ分析、②シーズ分析、③アイディア発想を行いました。

参加者は事前課題であったDX・HRテックに関する資料や『起業の科学』、そしてi.schoolの書籍『イノベーションを生むワークショップの教科書 i.school流アイディア創出法』を閲覧し、ワークショップに臨みました。

①未来社会のニーズ分析
まずはじめに、堀井先生から「人材育成に関わる未来シナリオ」が配布され、参加者には読む時間が与えられました。参加者自身で未来シナリオを作成した以前のワークショップとは異なり、i.school側が用意した未来シナリオを理解する点が印象的でした。

参加者には、論理的思考力を封じながら未来シナリオを受け入れ、そこから出てくる未来のシーンをイメージすることが求められました。未来シナリオには、「スタートアップが人気職業No.1」「通年採用、中途採用の一般化」「大学中退が当たり前」等の内容が書かれており、それらが実際に起こっているであろう未来の日本社会を妄想しながらニーズを考えました。個人でのワークの後、考え出したニーズをチーム内で共有し、有望であると感じたニーズを複数選出しました。

②シーズ分析
続いて、アイディア発想する上で必要だと感じたHRテクノロジーやサービス、ビジネスモデル等のシーズの分析を行いました。私たちのチームは学部生〜博士、社会人学生に企業からの参加者と多様なメンバー構成だったので、実際に企業で使用されている製品や海外スタートアップの最新技術、そして就職活動で使用したツールなど、知見や経験に基づいた多くのシーズが共有され、非常に興味深い時間となりました。

③アイディア発想
最後に、①のニーズと②のシーズを掛け合わせたアイディア発想を行いました。今回のワークショップは、実際に参加者がスタートアップを自ら設立することを想定し、そのスタートアップが実施すべき人材育成ビジネスのアイディアを創出することが目的です。そのため、『起業の科学』にも書かれていましたが、堀井先生から再度「自分ごととして発想するように」とのアドバイスをいただき、個人の発想の時間に移りました。私のチームでは合計20個弱のアイディアを発想しました。
2日目までの事前課題として、個人としてのベストアイディアを1個選出し、それについて自己評価をしてくることになりました。

以上がWS7 1日目の活動報告となります。

1日目でアイディア発想まで行いましたが、今後日数を重ねていくにつれ、アイディアがどう精緻化され、事業としてどのような形になっていくのかが、非常に楽しみに感じました。

木村未来
慶應義塾大学 経済学部経済学科3年
2021年度i.school通年生

【2021 WS7 Day2(10/20)】

2回目のワークショップでは、第1回目で行ったアイディア発想を元に、①アイディア評価、②総括的分析、③再試行を行いました。

①アイディア評価
「未来の適切なニーズを捉えているか?」「アイディアはニーズを満たすか?」「アイディアは実現可能か/事業は成立するか?」などの評価軸を元に発想の評価を行いました。各チームメンバーのアイディアにポジティブ面・ネガティブ面双方の意見を交換し、優れたアイディアを探しました。

②総括的分析
やはり良いアイディアは一度では中々生まれません。統括的分析では、「どこに問題があったか」「どのように再試行を行えばよいのか」などを注意深く議論し、再試行を行う方法などを考えました。

③再試行
私達の班では未来シナリオそのものの再検討を行い、Day1で行った手順のほとんどをもう一度やり直しました。

以上は今までのi.schoolのワークショップにてよく用いてきた手段ですが、今回は未来シナリオが難しいものであり、以前にも増してアイディアを生み出すのに困難を極めました。Day3では行うアイディアの精緻化・発表に向けて自分たちのアイディアをきちんと見直していきたいと思いました。

久手貴就
一橋大学商学部2年
2021年度i.school通年生

【2021 WS7 Day3(10/27)】

Day3では、アイディア精緻化、中間発表を行いました。

アイディア精緻化とは、論点を整理し、検討事項を網羅する過程を示します。具体的には、第2回までに整理したアイディアの概要に関連する論点を複数列挙し、プロコン (pros/cons)の分析により明確化と結論による方針の検討を行いました。

さらに、精緻化したアイディアを以下の5つの項目に整理し、中間プレゼンテーションをしました。
・事業の概要
・未来シナリオのポイント
・登場人物
・登場人物のニーズ
・シーズ事例
・事業の成立性、持続可能性

ここで発表されたアイディアに参加者からのフィードバックが与えられ、改善またはアイディアの見直しを次回おこなうことになりました。

安彦潤也
東京大学大学院情報学環教育部
2021年度i.school通年生

【2021 WS7 Day4(11/4)】

Day4では①プロトタイプ事業、導入事業、本格事業の設定、②プロトタイプ事業の事業計画策定を行いました。

①プロトタイプ事業・導入事業・本格事業の設定
本ワークショップでは未来のイノベーションのアイディアを創出することを目的としている一方で、未来の顧客は現在存在せず、存在しても現在の文脈でしか答えられないことが課題です。故に適切な事業戦略の策定が重要であり、アイディア創出ワークショップによるアイディアの事業化の第一歩として、本格事業・導入事業・プロトタイプ事業の設定を行いました。Day5にて全チームによるプロトタイプ事業の発表を予定しており、プロトタイプ事業へのGOサインを得ることが目標となりました。

②プロトタイプ事業の事業計画策定
①でプロトタイプから本格事業への青写真を描いた上で、チーム毎にプロトタイプ事業の事業計画の精緻化を実施しました。プロトタイプ事業が満たすべき要件は「本格事業が魅力的であること」「プロトタイプ事業が成功すれば、導入事業、本格事業につながること」「プロトタイプ事業が成立すること」の3点が挙げられました。私のチームではプロトタイプ事業を仮決定した後に、既存のサービスとの差別化や新規性を見いだせない結論に至り、再度チームの価値観やミッションを確認する経過を辿りました。

以上がWS7 DAY4の活動報告となります。

次回はプロトタイプ事業の事業計画の発表に始まり、プロトタイプ事業の仮説検証のためのインタビュー設計を行なうことになりました。アイディアの仮説検証が本ワークショップの要となるため、各チームの議論も次回にかけて盛り上がりそうだと思いました。

下川さわ
東京大学工学系研究科社会基盤学専攻
2021年度i.school通年生

【2021 WS7 Day5(11/10)】

Day5では①中間プレゼン、②仮説検証インタビューの設計を行いました。

①中間プレゼン
前回までのワークショップで各チームが策定したプロトタイプ事業の事業計画について発表し、他の参加者や堀井先生から質問やフィードバックをいただきました。プロトタイプ事業が満たすべき要件として挙げられていたのは以下の三つです。
Ⅰ 本格事業が魅力的であること
Ⅱ プロトタイプ事業が成功すれば、導入事業、本格事業につながること
Ⅲ プロトタイプ事業が成立すること

以上の三つの要件満たされているかどうかという点を中心に各チームに対してのフィードバックが行われました。

②仮説検証インタビューの設計
中間プレゼンで発表したプロトタイプ事業の事業計画をもとに、インタビューにおいて検証すべき事項やインタビュー対象者、有効な質問内容などについて検討し、仮説検証インタビューの設計を行いました。インタビューは次回のワークショップまでに各チームがzoomで行い、その内容を動画録画とメモによって記録することになりました。

以上がWS7 Day5の活動報告となります。

次回、インタビューから得られた内容があらかじめ立てた仮説とどのような違いを持ち、どのように仮説に影響を与えるのかに着目しながら、さらに魅力的な本格事業とそのために有効なプロトタイプ事業を策定すべく取り組んでいきたいと思いました。

森達哉
東京大学 工学部化学システム工学科4年
2021年度i.school通年生

【2021 WS7 Day6 11/20】

Day6は土曜日に実施され、9時から16時までの長丁場のワークショップに取り組みました。

チームごとに、これまでの検討事項やインタビュー結果の分析を最終発表に向けて行いました。進め方もチームごとに任せられ各チームが自分達に必要な検討を行うという形をとりました。

その中で、私たちのチームではまだインタビューを実施できていなかったため、アイディアの検討と精緻化を進めました。
具体的には午前中の段階で最終的な本格事業に関するアイディア共有・評価・選定を行い、絞り込んだアイディアの精緻化を午後で行いました。

精緻化された本格事業のアイディアをもとに、プロトタイプ事業と導入事業の検討と、インタビューによって検証したい仮説を検討し、インタビューの設計をすすめました。

最終発表まで1ヶ月弱となり各チームとも準備を着実に進めており、最終発表で各チームのアイデアを聞くのがとても楽しみだと思いました。

松本吉城
東京大学大学院経済学研究科修士1年
2021年度 i.school通年生

【2021 WS7 Day7 11/24】

Day7はDay6に引き続き、チームごとに今までの議論やインタビューを振り返りつつ、最終発表への準備を行いました。

チームごとに分かれて、自分たちに必要な予定を組み立てるところから始まりました。私たちのチームでは本格事業の方針を定めた後、プロトタイプ事業の精緻化を行いました。前回魅力的な本格事業を考えるというところで少しつまずいてしまったので、堀井先生からアドバイスもいただきながら議論を重ねました。結果、無事に本格事業の方針を定め、それを達成するために必要なプロトタイプ事業の形が徐々に見えるようになりました。

堀井先生のアドバイスは決して優しいものではないけれども、そこから自分たちのアイデアに必要な要素を導き出すという作業は楽しく、勉強になりました。最終発表までにインタビューを含め様々な方からのフィードバックをいただいて、より良いアイデアに仕上げていきたいと思いました。

久野瑞季
東京大学文科三類2年
2021年度 i.school通年生

【2021 WS7 Day8 12/1】

Day8は、最終発表前最後のワークショップでした。

チームごとに時間の使い方に違いが生まれており、チームの中には、本格事業/プロトタイプ事業を考えるプロセスを終え、それぞれの説得力を高めるために新たなインタビューを計画しているチームや、プロトタイプ事業の収益モデルを具体化しているチームもありました。

私たちのチームでは、本格事業の概要や魅力ポイント、導入事業/プロトタイプ事業の大まかな方向性が決まった状態から議論が始まりました。

これまでにも、議論を具体化する過程で抽象的な部分で共有できていた認識も、具体的なイメージはメンバーごとにずれていることがありました。そのため、これまでの議論を踏まえ、それぞれのメンバーが考えた具体的な事業概要、ビジネスモデルの共有を繰り返しました。

特に、本格事業の魅力的な点を事業に関わるステークホルダーごとに分類して挙げ、ニーズに答えられているかの確認をしたり、誰に向けたプレゼンが適切か検討することに時間を使いました。

発表では以下の内容を8分でまとめてアイディアを共有します。
・本格事業の概要と魅力<事業主体が取組むべき理由と根拠を述べる>
・本格事業、導入事業、プロトタイプ事業の概要
・プロトタイプ事業の内容<プロトタイプ事業によって検証される事項、導入事業につながる理由と根拠、プロトタイプ事業が成功する根拠を述べる>

最終発表までの時間はわずかでしたが、WS7はこれまでのi.schoolでは最も長い期間試行錯誤を重ねたワークショプであるため、最終のアイディア発表がとても楽しみだと感じました。

林 花音
2021年度 i.school通年生

【2021 WS7 Day9 12/8】

Day9は最終発表の日でした。これまで3か月にわたり取り組んできたワークショップの最終発表ということで、各チームはこの日までに追加でインタビューを行ったり、事前に集まり準備を進めるなど気合いが入っていました。

発表にあたり、i.school卒業生であり現在株式会社プレセナ・ストラテジック・パートナーズの執行役員を務めておられる柴田偉斗子様に評価者としてご参加いただき、人材育成に携わっておられる経験から様々なアドバイスをいただきました。

発表では「どのステークホルダーに対するプレゼンテーションか」を表明したのち、未来を見据えた新たな「本格事業」と、その実現に向けた導入としての「プロトタイプ事業」について主に発表が行われました。ニーズが的確であるか・既存のアイディアとの差別化はできているか・収益性はあるのかはもちろん、ロジックとしてプロトタイプが本格事業と結びつき得る有効なものであるかなど、様々な意見が交わされました。

「メタバース職場でチームワークを円滑にするためのコミュニケーション解析サービス」「副業を支援するための業務分析・相談支援サービス」「小学生向けのベンチャーキャピタル」「中高生の起業を起点としたキャリア支援事業」「起業家とそのパートナーを対象としたコミュニティ・就業支援」の5つのアイディアは、いずれも起業や副業が一般的となった先の未来を見据えたものでしたが、目の付け所はどれも異なりました。各チームがどのような未来ニーズを有効と考えているのか、それは現在においてはどのように検証しうるのかについて学ぶことができました。

長いワークショップでしたが、有効だった考え方や手法を振り返りながら今後の糧にしていきたいと思いました。

渡邉 俊介
東京大学経済学部3年
2021年度 i.school通年生

【2021 WS7 Day10 12/15】

Day10は3ヶ月続いたWS7の最終日でした。この日は、WS7全体のプロセスを振り返り、各チームの学びを共有しました。

最終提案の振り返りとワークショッププロセスの振り返りの2部構成でした。

まず、最終提案の振り返りです。
私の所属するCチームの最終提案は、小学生向けのベンチャーキャピタル事業でした。振り返りでは、「小学生向け、という独自性がよかった」「プロトタイプ事業と本格事業のつながりを無理なく設計できた」といった意見が出る一方で、「塾に入りたいと思える信頼をどう構築するかが検討が足りなかった」といった意見も出ました。その後の全体共有では、他チームから、「自分のチームでは、未来シナリオに適宜立ち戻って検討していた点がよかった」という振り返りも出ていました。

次に、ワークショッププロセスの振り返りです。
Cチームでは、「約10名に仮説検証インタビューを実施し、インタビューのPDCAを回すことができた」「チームの認識合わせをするためにビジュアルで表現していた点がよかった」という意見が出た一方で、「インタビュー対象をもっと広げてもよかったかもしれない」「アイデアの魅力を具体的に伝えるために、事前に外部の人に聞いてもらうべきだった」という意見も出ました。その後の全体共有では、他チームから「自分のチームでは、3ヶ月における各プロセスの時間配分が難しかった」という意見も出ていました。

Day10をもって、年間プログラムで最も活動期間の長いWS7が終了しました。振り返りの後は懇親会が実施され、各チームの具体的な経緯を聞くことで、さらに学びを深めました。

WS7では、アイディア創出だけで終わらず、事業計画の設計や、仮説検証インタビューのプロセスまで学ぶことができました。特に私のチームでは、リサーチやインタビューといった、インプットの量がアウトプットの質を変えることを痛感しました。

今後もWS7で得た学びを活かして、より魅力的なアイディアを創出したいです。改めまして、各チームの仮説検証インタビューにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

三笘 源
九州大学大学院芸術工学府デザインストラテジー専攻修士1年
2021年度 i.school通年生


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