金は永遠の真理でなかった ゴールド131
金の栄光は終わったのだろうか?
金は二つの役割を果たした
歴史を通じて、金は二つの役割を果たしてきた。一つは「装飾品」として。もう一つは「貨幣」として。
その二つがお互いを強化し、支え合ってきた。そして、貨幣としての重要性が増すにつれて、金の持つ権力はますます大きくなっていった。
しかし、中世を通じて銀行業が盛んとなり、17世紀以降は貿易と生産が加速度的に成長したため貨幣の必要性が急速に高まった。そこでは、金よりも「信用貨幣」が多く使われるようになった。
つまり、金は金融取引の手段というよりも障害となってしまったのだ。
金本位制
1970年代に金本位制が採用された。金本位制はほとんど偶然に採用されたとも言える。そして金本位制によって、金の持つ機能ははっきりと変化した。
金本位制では、金自体が人の手から手へ渡ることはあまりなかった。その代わり、「金」は、増大する経済及び金融上の取引で使われる「紙幣」と「銀行預金」に対する最高の担保として銀行の金庫室に保管 -退蔵- された。
金は絶対的な本位として、また動かない障壁として静かに保管された。過去に政治家が抽象的な形態の貨幣を作ったことで手に負えないインフレを引き起こしたことを反省し、インフレを起こさないための裏付けとして金は機能しようとした。
金は時代遅れになった
しかし、インフレを起こさないための裏付けとしての金の役割も、金本位制が始まった最初からその運命を終えていた。
世界的な金融活動、政府の機能がますます複雑化し、規模も大きくなっていた。そうした中で、グローバルな金融システムを金属 -金- で管理するのは不合理だったのだ。
金の供給量は自然によって決められる。そして、金の主要な供給源はロシア、南アフリカのようなあまり好ましくない場所だった。
金は時代遅れになったのだ。
金は永遠の真理でなかった
金本位制が採用された期間を1870年代から1971年までとすると、その期間はわずか100年ほどである。
コロンブス、ジョン・ロック、リカード、ノーマンらが金は永遠の真理でなかったと知ったら、彼らはどう思うだろうか?
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン