ゴールド 金と人間の文明史-28 フリードリヒⅡ世
シチリア王国は1197年から1250年まで神聖ローマ皇帝フリードリヒⅡ世が治めた。
フリードリヒⅡ世はヨーロッパで初めて王の特許状が与えられた大学、パレルモ大学を創設した。パレルモ大学では公務員が養成され、先進的な官僚制度も確立させた。
フリードリヒⅡ世が死去した時、シチリアは二つの金の標準を同時に採用していた。
一つは9世紀から使われていたアラビア起源のタリ金貨である。しかし、フリードリヒⅡ世はタリ金貨を好ましく思わず、自分が最高の帝位を持つ神聖ローマ帝国で流通させるにはふさわしくないと考えた。
そこで、彼はアウグスターリスと呼ばれる新しい金貨を発行した。金貨および西アフリカの金鉱から採れる砂金でかなりの献納が見込めると踏んでいたからである。
このアウグスターリスは、アラブのディナール金貨よりも高い価値を持った。そして、この硬貨はすぐにタリ金貨をしのぎ、西ヨーロッパと近東で大きな需要を持つようになった。
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン