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ゴールド 金と人間の文明史-32 14世紀にも金はまぶしすぎるほどに輝いたときがあった
14世紀はヨーロッパ史のなかでも特異な世紀である。飢饉、疫病の流行、社会の混乱、戦争などの災禍が容赦なく続いた。
それは12世紀から13世紀にかけての進歩と発展の時代とはうってかわった恐怖の世紀だった。
この陰鬱な時代に、いったい金はどのように輝いていたのだろうか?
この時代、14世紀にも金はまぶしすぎるほどに輝いたときがあった。失われていたかもしれない命を救った -身代金として使われて- ことさえあった。
硬貨の鋳造と金融上の発明は、その前の200年ほどの進展を見せていないが、金が闇に沈んでしまうことはなかった。
そして、この恐怖の14世紀 -14世紀の歴史について大著を書いたバーバラ・タックマンは、「暴力と苦痛と混乱に見舞われた受難と崩壊の時代、多くの人が考えるように、悪魔が勝利した時代」と表現している- がようやく過ぎ去り、15世紀になって生活水準が格段に向上して経済が発展すると、人々は金の供給量が需要をはるかに下回っていることに気づき、世界の別の地域に金の新しい資源を求め始めるのである。
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン