春になると阿蘇は黒い惑星になる。 阿蘇といえば緑の草原が広がる景色が有名だが、春にその姿は一変する。 まだ桜が咲き始める前の3月、冬に枯れた草木たちに火が入り、草原は炎に包まれる。これが野焼きだ。 草原を燃やすなんて。と思うかもしれないが、阿蘇の草原は野焼きを行わないとヤブになってしまう。野焼きを行うことで初夏には新芽が芽吹き、新緑の草原へと生まれ変わる。生き物の棲みかを守り、九州の水がめとなるなど環境を守る上でも欠かせない。 阿蘇の草原は手つかずの自然ではない。野焼き
出かける1分前。 不注意で洋服に穴をあけてしまった。あとはもう家を出るだけだったのに。着替えなきゃいけない。ああ、悔しい。お気に入りの洋服だったのに。 この現実をせめて写真に収めてやらないとと思い、シャッターをきると少し気持ちが和らいだ。不運を楽しめているのか、それとも単なる職業病なのか。 しばらくして、あのとき撮ったフィルムが現像から戻ってきた。写真に写る洋服にはまだ穴があいている。なぜか愛おしい。 穴のあいたシャツはもうここにはいない。 写真は魔法なのか。