映画もやもや:さがす
おかえりモネで内田くんを演じていた清水尋也が殺人鬼役でやばい面構えをしているのを知り、久しぶりに劇場へ邦画を見に行った。
はぁ…これだから邦画は嫌なんだよ…(舌打ち)という気分を久々に存分味わうことができた。何が言いたいのかよくわからない上に上演時間も長いし、随所に不快な性的シーンを入れてくるし、上映一時間あたりから飽き始め眠くなってしまう様で貴重な休日を全くドブに捨てた気分になった。
サイコパスの描き方が雑
SNSで自殺志願者を誘き出し、殺害のち解体・頭部をクーラーボックスに保存というパターンから事件のモチーフは座間9人殺害事件であることは明らかである。日本において稀な残虐性からセンセーショナルに報道されたこともあり、記憶に残っている人も多いと思う。
連続殺人犯の山内は人を殺めること自体に執着しているサイコパスで、絞殺にこだわり死体に白靴下を履かせて自慰行為をする人間、ということはわかった。ただそれ以上の掘り下げはなく、主人公家族の近くにたまたまいた存在が山内だったというところまでしか描かれない。山内の殺人や自慰シーン、逃亡生活などはあるが本人が何に突き動かされているのか、どういう生い立ちなのか、いつから殺人に固執し始めたのかという過去背景や心情には一切触れられておらず、ただ急に現実に顕現したサイコパスというだけなので犯罪心理なんかが知りたい僕にとってはとても上っ面なキャラクターだった。座間事件のこととか調べてんのか疑うレベル。
安楽死の描き方が雑
作中で何となくテーマになっているのかな?と思ったのが安楽死。山内は自らの行いを「殺人ではなく人助け」という詭弁で正当化している。時系列的に最初の殺人は家族の同意のもと実行されるALS患者の絞殺だが、さすがに意識が清明なまま縊死させるというのは全く安楽になっていないしおかしくね?状態。
山内は自らの欲望として生きた人間が徐々に死にゆく様を見たいと思っているのかもしれないが、その場にいる家族はとても耐えきれないのでは?仮にも愛している伴侶なら睡眠薬とか飲ませて意識混濁させるよね?何なの?バカなの?最愛の人間の死を代行でとはいえ自ら決断した悲哀、的な文脈が多少なりとも含まれると感じたがあまりに説得力を欠いているので映画として興醒めである。殺人での捜査を恐れて薬の使用を避けたとしても、そもそもALS患者があんなに大掛かりに吊り紐結べないだろうし自殺で処理されてるのも雑すぎる。
娘が主人公かと思ったら父親で興醒め
失踪した父親を探す娘を中心に話が展開していくと思いきや、途中から父親が主人公になって種明かしを始めたので正直オッサンの自分語りとか興味ないんだけど…状態に陥った。一言で言うなら普通の夫で父親だった智が山内の狂った趣味に巻き込まれた挙句最後に自滅する話である。楓が奔走していくサイコサスペンスかと思いきや、汚いオッサンの惨めな人生を見せられた落差で僕は劇場まで足を運んだことを後悔した。
展開に不要なポルノ
山内のセンズリ(ご丁寧に手のひらの精子描写つき)シーン、親切そうなジジイのえげつないポルノコレクション、垂れ流される緊縛AV…などこれ話にいる?という描写がそこそこ登場してくるおかげで僕のテンションは上映開始時点を頂点とし急降下である。決定的にクソだと思ったのは女子中学生が服を捲り上げて胸を見せるシーンと首を絞められるシーンである。何を見せられているんだ僕は、児ポじゃねえのかこれは?と言う不快感と嫌悪感でもう頭はいっぱいである。しかもこの児ポシーンはなくても全く影響がないようなところで出てくるし、令和になってもこんな児童加害シーンがPG12で良いのか?日本の人権意識はいつまで経っても進歩しないし、良い加減にしてくれよと思った。もう二度と見ねえ、クソッタレが。