酒がまろやかな味になる秘密−熟成のメカニズム
ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒を長い年月の間熟成させると、香りが良くなり、円熟味の増した素晴らしい味になることは良く知られています。
一方、日本酒やワインのような醸造酒も熟成により、新酒時の刺激的なアルコールの味や匂いが消え、まろやかな味になって飲みやすくなります。
一般的に、アルコール分子同士は集団(クラスター)※を形成している上に、水分子同士も集団(クラスター)※を形成しています。
新酒では、アルコール分子は水分子の集団のすき間に入りこめません。つまり、アルコール分子がむき出しの状態になっているため、アルコールの刺激臭が強く、味もきつく感じます。
新酒を熟成させると、水分子、アルコール分子のそれぞれの集団が壊れて小さくなり、アルコール分子が水分子の集団のすき間に入りこみます。すると、アルコール分子は水分子で包み込まれるようになります。こうなったお酒は、まろやかな味になります。
超音波で日本酒がまろやかな味になったのは、高速振動で熟成が加速された事で説明がつきます。
ウイスキーやブランデーなどで水割りを作る時も超音波を使えば、単なるかき混ぜよりもまろやかな味になるかもしれません。
※このような集団の事を科学分野では「クラスター」と言います。