「AMS」
2019年7月半ば僕はと言えば、僕はロンドンにいた。芸大留学という名前だけ聞くとかっこいいことをしていた。
今回はそんな僕に会いに遥々日本から丸山と翔平ちゃん、こーきの三人組が卒業旅行ついでにやってきた。
丸山はニューヨークも一緒に行った中で、大体落ちついていない僕の、数少ない「無」を共有できるやつだ。
(丸山はいつも金を持っているタイプだが今回は就職活動明けで、なけなしの金を引っ叩いてヨーロッパにきていたらしい)
翔平ちゃんに関しては、彼とは大学に入ってから知り合ったが彼ほど人に愛情と優しさを持ちながらも、どこか都合よく生きようとしている態度がバレバレなやつは他にいない。
まあそこが翔平ちゃんがみんなから愛される理由なのかも。
こーきに関しては、ロンドンで初めて会った。
基本的にあんまり喋らないタイプだが、本当は色々考えているタイプだ。彼とは好きな音楽やスタンスの気が合いそうだ。
まあそんなこんなで彼らは遥々ロンドンに到着し、僕は空港まで迎えにいくはずだったが、寝坊をかまし遠隔でUberに彼らを乗せ僕の寮へと向かわすハメになった。
感動の再会というより、彼らがロンドンにいることに多少の違和感を感じた。
いや、多少ではないな。
僕らの旅行プラン的に1日目からアムステルダムへ向かう予定だったので、ロンドンでは重宝の日清カップヌードルをランチにいただき、僕たち一行はユーロスターに乗るためキングスクロス駅へと向かった。
約3時間くらい列車に揺られ、到着すると真っ先に川の空気と古い建物の空気感が僕らに微笑んだ。
それと同時に漂う緑の匂い。
その時に実感した、大麻・売春合法の国を。
それから僕たち一行はエアービーエヌビーの宿へと向かい、その後はお腹も空いていたので食べにでも行こうかと話していたが、事件は起こった。
入口の鍵が開かない。。
鍵は3つあったのだが、どのパターンを試してもドアノブが回る気配は一向にない。
時刻は深夜の12時。
ホストからの返信もない。
このままでは、野宿だ。
建物のどこかから裏庭へ侵入できないだろうかと辺りを見回ったが、とても入れそうなところはない。
そこで反対側から攻めれば入れるのではないかと考え行ったが、そこもまた同じような住宅が並ぶ。(アムステルダムの建物は四角形に中庭を囲む形で並んでいる)
勇気を振り絞って、明かりがついている家に助けを求めたが、問答払い。
いよいよ本当にやばい。
僕たちは壁の奥のベッドを前に途方にくれた。
旅初日からまさか野宿になるとは誰も想像していなかっただろう。
僕がこの宿を予約ため、申し訳ない気持ちと少し笑ける気持ちが入り混じり、やっぱり内心笑っていた。
そしてついにこの時間でもチェックイン可能なユースホステルを探そうとしていたところに一人のおじさんが通りがかった。
もうどうしようもなかったため、めちゃくちゃ悲しそうな顔で助けを求めた。
おじさんは僕らに同情してくれ、何か手を打とうと考えてくれている様子だ。。
しばらく辺りを見て、厳しそうな表情し鍵を貸してみろという。
すると、いとも簡単にその僕たちが二時間ほど対決した鍵を開けた。
歓喜である。
その日のロンドンからの移動の疲労と異国の地で野宿するかもしれないという絶望をこのオランダ人男性はいとも簡単にぶっ飛ばした。
これでやっと寝れる。
おじさんはドアを開け、これがオランダのドアだよと行って去って行った。
僕はThank you my got !!と別れを告げると、おじさんはYou too my got!!と言い捨てた。
意味わよくわからなかったが、とにかく彼はその時の僕たちにとって神だった。
そして晴れて僕たちは寝床につけたわけだが、何が言いたいかっていうと、
オランダのドアむずすぎやねん。
皆さんもオランダのエアビーを使うときはお気をつけを。
その日はもうすぐに寝ちゃったんだ。