「Nikeが社会課題を扱うことで本当に求めているもの」

2020年12月26日 18:28

近年になって、社会問題、特にBLMを筆頭に人種差別問題の解決が謳われるようになってきた。

その流れはアクティビストたちだけでなく、広告やコンテンツにも広がっている。

今回はここ最近でその象徴となった、Nike Japanが出した'You cann't stop us'というメッセージのブランディングCMについて書きたい。

内容としては、在日外国人の子どもにまつわる人種差別問題をとりあげ、それに打ち勝っていく姿を描いている。

僕の周りの人たちは、SNSでシェアしたりNikeのこうした意思表明に対してポジティブに捉えている人も多かった。

しかし、SNS上では「ストーリーに無理やり感を感じる。/見たくないのにわざわざ取り上げる必要はあるのか。/ 良い気分にはならない。/そもそもこのCMをやる意義はなんなのか。」などNikeヘイトを表す人々も多く見受けられた。

Nike側としては、これも予測済みでヘイトを示すターゲットにはそもそもフォーカスしていないというのは前提として、

一見、さすがNikeだ。かっこいい事やってるな。で終わるのかと思いきや、非常にセンシティブな問題なだけに、やはり反論は多く寄せられていてCMで描かれていたような過去を持つ人からも批判の声が見受けられた。

僕を含めポジティブに捉えた人にとっては、なんで？と思ってしまう人もいるかと思うが、この意見もちゃんとした生の意見である。

今回の施策は、私たち日本人の価値基準やものの捉え方はたとえ当事者であったとしても全く持って違うという事を明確に表したように感じる。

いろんな意見が挙げられている中で「人はそれぞれ違う。」とい言えばそれまで。

だけどその中でNikeは「違い」があるからこそブランドとして人格を纏い、信じた意見を述べたとは捉えられないだろうか。

表現の仕方や、描写には人によって受け方の偏りがあったとしても、Nikeは社会課題に対して意思表明をするというスタンスこそがブランドのやるべきことと信じているに違いない。

また、今回のこのCMが世の中に「考えるきっかけ/人々の間で議論を生むこと」を目的の１つとしているとすると、社会的に価値観を揺さぶる/押し進めるという文脈では素晴らしい施策だとも思う。

Nikeというブランドが取りたいスタンスに悪意はないことは、これまでのCMを見ていると明らかであるし、ちゃんとセンシティブな問題に対してグローバルを掲げて取り組んでいる。
(実際僕はNikeのそういう難しい問題に対しての挑戦的なスタンスに惚れてしまっている。)

完全に偏Nike側に偏っている人の意見に聞こえてしまうけれど、広い目で見て社会課題解決のプロセスとしてはポジティブに捉えられると思う。

今回は議論を生む表現になったけれど、これから世界のブランドがどんどん人格化していき、世間に対してメッセージを届けていくことはこの時代に生きる一人間としてリスペクトしたい。

でもヘイトの意見も難しい社会課題の解決に繋げていくためには必須な立場であることは間違いなくて、その両者の中で「どのように対話を作っていくか」こそが、私たちがとるべきことだと思う。

こんなこと言ったって、「結局現実味ぜんぜんないよ。」という意見もあると思う。

実際僕も海外に出るまでは、そんなこと頭の隅の隅にあった。

やっぱり実体験がないと自分ごとに感じづらいし、なぜか意見を言っている人のことが正義をかざしているように見えてしまうというのも分かる。

だから「対話」なんだ。

無意識に日々やっている対話にちょっとでも意識的に相手を思いやることであったり、自分を正当化しすぎていないかなど、疑いを持ってみるスタンスの国民に日本人もなっていけたら良いなと思う。

今回のNikeのCMはいい意味でも悪い意味でも人々の価値観が露呈したが、その差異を認識して他者理解に繋がる対話を生んだの良いきっかけであったと捉えたい。

NikeのCMを今回のものを初めて見た人はNikeのこれまでのCMをぜひ見て見て欲しい。

Nikeのこれまでの構築してきたものを知った上で考えてみても、またNikeのブランドとしてのメッセージの明確さや、どこまでもDreamerの姿勢を知れて面白いんじゃないかな。

本当にかっこいいから。

やっぱりワクワクしてしまう。

Adios.

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