![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158095711/rectangle_large_type_2_b7136a8dbf4bbc792057f6a3b5c50b4a.jpg?width=1200)
深い森の中で
深い森の中で
樹々の間を
縫う様にある獣道は
水場へ続く道
蒸せる暑さの中
水を求め歩いて来たんだ
足元の木々の根は
苔蒸していて
水気の多い土が
足に付く
風が樹々の枝を
揺らす音が
子守唄の様で
樹洞で眠る者も
まだ
大人しくしている
深い森の中で②
川辺で
喉を潤した後
岩場で眠っていたみたいだ
空を見れば
陽が落ち始め
木々の陰の中から
黒く蠢く物達が
騷めき出した
樹洞で
眠っていた筈の
ミミズクは枝に留まり
空を飛ぶ鴉を見て
私は
連なる雲の筋を見てた
深い森の中で③
雲の筋の先に
星が瞬く頃
夜色を纏った私は
ミミズクに言う
歌を唄ってよ と
ミミズクは
葉擦れの音に合わせて
歌を唄う
夜風に乗って
ミミズクの歌が
森に流れて行くんだ
深い森の中で④
ミミズクが
一頻り歌った後
次は私に歌えと
此方を見るから
歌った
白い椿の歌を
私の声は
ミミズクみたいに
響かない
深呼吸して
呟く言葉は
向かい風に吹かれ
夜空に溶けてく