あやかしの子
📌あやかしの子①
僕は一人
川で魚を掴んで捕まえて
遊んでいたんだ
けど
岩場で足を滑らせて
怪我して
川の水の中で
動けなくなったんだ
如何したら
良いか分からず
泣きたくなってた時
人の子が
「手を上げなよ」って
岩の上から声を掛けて来たんだ
📌あやかしの子②
僕は
「いい。人間はあっち行けよ!」って
言ったら
人の子が言うんだ
「行かないよ。
だって君 困ってるじゃない?」って
僕に言うんだ
📌あやかしの子③
結局 あの時
僕は人の子に助けられたんだ
僕は人間の手なんて
借りたく無かったよ
でも
僕には
如何にも出来なかったんだ!
本当に困ってたんだからね!
人間なんて…
📌あやかしの子④
あれからも
森の近くで
あの人の子を
偶に見かけては
今日も友達と楽しく
元気に遊んでるなって
思うくらいには
なって
もっと
あの人の子が
笑う様にって
僕は木の上から
姿を見せないで
落ち葉や木の実を
頭に落として
驚かせたりしてたんだ
📌あやかしの子⑤
夕暮に染まる森は
茶色掛かった赤い色
森に居る
あの
人の子の顔も夕陽色だ
独りで黙って立ってたから
「何してるの」って
つい声を掛けてしまった
📌あやかしの子⑥
人の子は泣いていたよ
年下の兄弟が亡くなったって
その子は
僕くらいの背丈の子で
赤い紅葉が気に入ってた
落ち葉で遊ぶの
嬉しそうにしてたって
言って
人の子が泣くんだ
だから僕は
「その子の代わりになるよ」って
言ったんだ
📌あやかしの子⑦ 終
あれから
僕は時々
兄弟の身代りとして
人の子と遊ぶ様になったよ
良い子だって褒めてくれる
僕は亡くなった子が
何処にいるか
気付いているんだ
兄弟だからかな
似た匂いがしてた
でも
僕は人の子に
教えてやらないんだ
お化けの子も
人の子だった頃の事
覚えて無いからさ…