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黒狐

📌黒狐①

苔の湿った匂いを
嗅ぎながら歩く

密接した
低い立木を見付けて

此処なら
落ち着くかと
身を隠し休んだ

鬱蒼とした
森の奥で

滑った
土の中から
菌が育ち
植物に擬態した花と

湿り気をおびた
派手な木の実を

濡れた
森の岩場で

僕は咀嚼する

📌黒狐の祠


森に続く道を
歩いていると

樹々の影に
隠れる様に
石造りの
登り階段があって

階段を登りきると
赤い前掛けを付けた
お地蔵いる

其処から先にあるのは
獣道

森の深みに入り込む様な
獣道の先に

大きな木の
樹洞の中に
祠があって

黒狐が居ると
小さな燈籠に
火が灯るのだ

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