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あるイラストからの創作詩

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Twitterで絵を創作題にして書いた詩です 📌Twitterリンク先を貼ってあります
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#身体

森の調合薬

生き物で いるよりも 植物で いたかった僕は 森で拾った 木の実や花を 調合した薬を 蝸牛に 与え試した 森の薬は少しずつ 身体を 侵食する様に 植物に変化し 身体が緑を 纏っていったんだ 今では 小さな花を 咲かせる程に… 此の薬が有れば 誰でも植物に 産まれ交われるんだ

感覚の相違

朽ちた身体が 散けない様に 鉄線を巻き付け 更に 足元は石や土で 頑丈に硬める 生きる為の 僕の執着だ 此の身体に 醜さを抱えてでも─。 ・・─雨が降れば─   傘を差して凌げる それくらいに 私が 生きるのは安易な事で… 此の絵から感じる 差異が 私の底浅い感情を 揺るがす

空を漂う

薄皮を大きく広げ 身体に空気を含み彷徨う 私の手足が 風に流れる様に 長く伸び クルクルと 彼方此方に渦巻く 此の手足に 吸い付くのは砂ばかり 空を彷徨い 墨を吐けば 視えずにいた景色が 露わになる

ブリキ製の世界

酷く汚染された 此の世界 生身の身体は 壊死して 溶け腐敗してまうんだ 生きていく為の ブリキ製の身体 ガチガチ ガチャガチャ 此の 金属音が日常の音 ブリキ製の世界が 此処に有る

禁断の書

重厚な本 紋章に血を垂らすと 吸い込まれる様に 血が消えた 本の頁の隙間から 子蜘蛛が沢山 出て来て 僕の身体の隅々まで 検分するかの様に 覆い尽くして来たんだ 身体の一部分が 焼ける様に熱い 気が付けば蜘蛛は居ない 焼けた痛みを感じた所は 本と同じ 紋章が 身体に付いていた

臓物

革袋に詰めたのは 残った君の身体 私は君の血の匂いも 悪臭など気にならないもの 君の臓物を抱いて 私は眠るのだ

砂糖         藤丸

私の身体が 砂糖で出来ていていても 周りのモノ達が 私の事を 甘く無いね  と言うんだ 単刀直入に 言葉を使うからかな 私自身に自覚が無いんだ 私の身体は 元は植物だったのかな 陽と風の中に居たのかな だったら もっと優しくて 甘い言葉を 言えたら良いのに…

氷の欠片       藤丸

積もり積もった氷の欠片が 僕の身体を作り出してゆく 足先迄、出来るのは あと、どの位かな? 僕等は 此の身が消える迄 氷の欠片を振り撒き 広い冬空を 駆け回るのだ

願い         藤丸

手の中には 僅かばかりのコイン 剥き出しの歯は謳を口ずさみ 心に残るのは願い 身体はカラカラに渇き 水気を失い 皮膚は骨に張り付き 此の身は、石の様に堅い姿に 手の中のコインは 握りしめ過ぎたのか 手に錆ついて張り付いた それでも 私は謳い願うのだ

何処にいても 私を探し出せる様に 蟲に私の血を垂らし 味や香りを覚えさせる 手に蟲を這わせると 細い針の様な棘の痛みが 中毒になりそうな痛みだ 蟲の棘が 私の肌を爛れさせ醜く膿んでゆく 膿が拡がり腐敗物の様な匂い 少しずつ 私の身体が壊死して逝く