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水面に 静寂な景色を 映して魅せ 上澄みに浮かぶ 花や葉を 掬い取らせる 水面の中の 奥深くを 覗き込めば 深く暗くて 水底も見えず 沈殿した 汚泥が 拡がっている 私は 水が濁らない様に 波を起こさぬだけ
外界を絶ち 薄暗い部屋に独り 響くのは 本の頁を捲る音と ペンの音だけ 静寂の中で 自分の思考ばかりが忙しない 持ち出し厳禁の『禁書』 探し出した禁書の一文 移し綴られた文字を 無言で見返す 此の本に記された言葉が どれ程の 効果があるのか 試さないと 分からないけれど…
其の瞳は濁り 空の青色さえも 写す事無く 太陽の居場所も 分からなくなって しまったのか? 直ぐ側に 見えるのは 沈黙した者の姿 静寂の中に身を置き 静かに眠り続け 私の声は届か無い 此の静寂の中に有っても 周りの景色は 濁ったまま。 鮮明さを忘れた瞳は 色を忘れ逝くだけか