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街を瓦礫に変えていく 火が街を燃やし尽くし 屍も焦げた臭いをさせる 武器は壊れて散乱 燻ぶる火が 煙を未だ出し続けている 服は腐敗臭と焦げた臭いのままで 僕は此の街を出ていく 僕の背後には 戦の残骸が在るだけだ
人間は眠り 猫の僕は 屋敷の中で夜の散歩 窓辺が明るくなる程に 月光が射し込んで来ている 椅子に乗り 窓を開け見上げると 今夜は満月 月の光が中庭を照らして 綺麗だったんだ だから 窓から外に飛び出し 中庭に行ったんだ
薄暗い部屋の 壁の中に閉じ込められ 僅かな穴から 何かの気配があると 声を掛けるんだ ねぇ誰か 其処に有る 一輪の花を取ってよ 触れてみたいんだ ねぇ誰か 甘い香りがするものが 近くに無い? とっても美味しそうな 香りがするんだ ねぇ誰か 此方に来てよ ねぇ誰か… ねぇ…
ランタンがないと周りが見えない 古城の中 微かに聞こえる音を探し歩く 古い回廊の先に扉がある 重厚な扉を開けると 高い天井と 丸みのある部屋の造りが 聖堂を思わせる 正面の通路から 流れ出る黒い霧で 足元が見えない 黒い霧が流れる方から音が聞こえる 君は此の先に居るの?
危険が入らない様に造られた 見上げる程に高い 砦の壁 低い雲が空を覆い 陽の光が無く 草木が育たない 風も吹かないんだ 此処では 死なぬ様に生きてるだけだ でも誰もが言うんだ 『砦の外の白い淀みの方が 恐ろしい』 って 白い淀みの怖さなんて知らないよ 僕は砦を出て行くんだ