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あるイラストからの創作詩

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Twitterで絵を創作題にして書いた詩です 📌Twitterリンク先を貼ってあります
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2023年7月の記事一覧

花になる

花の薫りが 僕の心を 捕らえようとする 花を喰らえば 僕の身体を 侵食するんだ 異変に抗いたくない 全て 僕が望んだ事なんだ 死に逝く僕等は 此処で 花になる

シェーレグリーン

此の世を 覆い尽くしていく色 人を死に至らしめた 此処は「死」の世界だ 殻を纏いし者は 眼と声を持てず 知性をも無くしたか 鎧を纏いし者は 鼻と耳を持てず 理性をも無くしたか 其れで死から逃れられたのか ただ生きてくだけの 孤独な 此の世界で

本とTV 

積読された本とTV 何方を見るか 今夜の気分で選ぶんだ ただ 本を広げている筈なのに TVを点けている筈なのに ある事がスイッチになり 思考の迷宮に迷い込む 視界に靄が掛かり 本もTVも見れてないのだ 其処に居ないのに 眼に映らないのに 心に映り込むものを見ているんだ

金魚鉢

僕の棲家は金魚鉢の中 陽の当たり難い 此の場所で 金魚達の唄を聞き 金魚達の泳ぎで起こる 緩い水流の中 過ごしているんだ 外で優雅に泳いでいる金魚達が 遊ぼうよと 誘ってくるけれど 金魚では無い僕が 君達の綺麗な鰭を 傷付けたくないから嫌だよ と 何時も断ってるんだ

留守番猫

涼しく薄暗く 強い陽射しも届かない 其処に有る果物も仄かに甘く香るのだ 水差しは 僕の代わりに見張ってくれてる 此の場所は 眠るには気持ちが良くて 毎回 此の場所で お昼寝をするのだ

蜃気楼の街

遠くに有る防波堤 其の更に先に浮かぶ 蜃気楼の中には 今は無き 街が見える 陽の光で照らされ見えた 幻の過去の情景に 皆が あの街の景色に帰れぬのか…と 悲しみに 耐えきれずに 声を上げて涙するのだ

宇宙(そら)

白く霞んだ空の下 宇宙から 落ちて来る雫が 僕の周りを 夜に染める 明かりは 小さな焚火が側に有るだけ 静かな夜の中で 雫が作る 白い波紋の渦を眺めていると 時が経つのを 忘れてしまいそうだ

なかなおり

もう、かなり衰弱してた 息をするのも 苦しそうで 痛々しかった 心配で伏せている 私の前で "僕はもう大丈夫だよ 泣かないで" なんて元気な姿を見せて もう大丈夫なんだ と私に思わせて… あの時の姿は 逝く前に 私に言いたい事を 伝える為の "中治り" だったんだね

深淵

深い深淵に居る 私は 醜さを隠す様に帽子を被り 表情を見せたりはしない 私は此処で花を咲かせた ある時 私の前にリボンが落ちて来て 君から? なんて… 其のリボンを帽子に付ければ 此処に居る私を 君は見つけ出せるだろうか? 余ったリボンを 此の花に付ければ 受け取ってくれるだろうか

瓶の中

僕の世界は 燻んだ煙りのような雲が漂う 汚れた空で 陽が当たらず 全てが腐り朽ちて 消えてしまったんだ 幻の様に 此処に在る 瓶に詰め込んだ狭い世界 僕は眼が離せないんだ 栓を開ければ行けるのかな? 栓を開けなければ 瓶の世界は 汚れる事なく 変わらない 世界のままなのかな

meow

meowと 呼んでみたり meowと 鳴いてみたり meowと 唄ってみたり meowと 言ってみたり meowと 囁いてみたり meowと 呟いてみたり meowと 君に言ってみたりする

僕は塩で出来ていて 周りのモノ達が 僕の事を 辛いと言うんだ 嫌われる事を言うからかな 不愉快な言葉を使うからかな 僕自身に 自覚が有っても変わらないんだ 僕の身体は 元は海の水なのかな 深く暗い 海底を漂って居たのかな だったら 緩やかな言葉を 言えたら良いのに