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社畜、ダイエットを開始する。
これは社畜が2022年5月に一念発起してダイエットを決意し、2022年12月末にマイナス30キロを達成する、実在する物語です。
初っ端から言い訳だが、社畜は2021年から2022年にかけて、はちゃめちゃ忙しかった。
かれこれもう10年近く社畜に身を窶しているが、こんなにも忙しかったのは記憶にないくらい忙しかった。
どれくらい忙しかったのかというと、我が家の終電は職場の最寄駅を24時15分頃に出る便で、普通に仕事をして普通に帰宅すれば全く問題ない時間まで走っていてくれているのだが、社畜が極まっていたその頃は、週に二、三度その終電にさえも乗れない日々がやってくる程度には忙しかった。
当然ながら、朝は朝で早くから働いていた。
その頃は、どれだけタスクをこなしても、ゴールの見えないデスマーチが永遠と続いていた。
気力体力共に尽きかけていた社畜は、それを手っ取り早くチャージする手段として、酒と揚げ物を寝る前に好きなだけかっくらうことを選択。
ストレス発散には酒と揚げ物だ。
揚げた肉と芋と、浴びるほどのアルコール。そして時には自分へのご褒美として甘いものも与える。
酒、揚げ物、スイーツ、酒、酒、揚げ物、スイーツ、ちょっとだけ野菜。
そうした生活を1年ほど続けながら、同時に永遠とも思われたデスマーチを駆け抜けた社畜。
ほうほうの体でゴールテープを切った社畜を待っていたのは、どうしようもないほど丸々パンパンになった自分の体だった。
正直、日に日に重くなっていく自分の体と、時折痺れるようになった手足から自分の体に起きていた変化は少なからず察知していた。
察知していたけれど、社畜は見ないふりをして、まあまだ大丈夫だろうと自分を騙していたのだ。
けれども、社畜はプロジェクト達成の記念に撮った写真を見て、愕然とした。
めっちゃ太っとるやんけ、われ。
その頃の社畜といえば、以前余裕で着れていたジャケットがぱっつぱつで、当然ながら前は閉められないし、なんなら腕周りもぱちぱちで動かすのも不自由するレベルに太りきっていた。
クローゼットに詰め込まれた服は、いつの間にかXLから3Lになっていた。
(XLでも十分太っているが、社畜は生まれながらにがっしりぼっちゃりしている)
XLのときは、ぎりぎり服屋で服を買えていたが、今はもう自分に合う服がないので、通販でばかり購入していた。
かつてきていたXLの服は、もう着れないと諦め、断捨離ついでに全部捨てていた。
自分の身に日々起こる変化を、見て見ないふりをして、気づいていないように振る舞っていたけれど、着れる服がないので大きいサイズの服を買ったり、小さいサイズの服を捨てたりして、何だかんだ太っていく自分をしっかり受け入れていた。
そうして受け入れ、甘やかして、まるまる太りきった結果、記念写真に写ったのは、信じられないくらいまるまると肥えた自分自身だった。
太りすぎたことで、気道が狭くなりいびきをかくようになっていた。
(それまでは死んでいるみたいに、静かに眠ると評判だった)
太りすぎたことで、自分の体重が両腕両足にのしかかったせいか、寝起きに痺れを感じるようになっていた。
太りすぎたことで、ほんの少し歩いただけで、多量の汗をかくようになっていた。
太りすぎたことで、太りすぎたことで、太りすぎたことで、と書き出せば延々羅列できるくらい、自分の体に異変をきたしていた。
異変をきたす体。
写真に写る恐ろしいほど肥えた自分。
それらを、2022年2月にデスマーチを抜け、心にゆとりができた社畜は真っ直ぐに見つめ直してみた。
見つめ直して、そして2022年5月、ついに社畜は決断する。
「社畜、ダイエットを開始する」
(決断するまでの3ヶ月間は、デスマーチを抜けたお祝いとして、毎日浴びるほど飲んで、浴びるほど食っていました)