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踊る大捜査線

『踊る大捜査線』が再放送されている。


小さい頃は警察官がかっこよく見えた。刑事ドラマを見ることが多かった。『相棒』や『科捜研の女』よりも、『あぶない刑事』や『踊る大捜査線』が好きだった。
昨今よく見る、頭を使いながら視聴するドラマが本当に苦手な自分が、時折挟まれるギャグやコントに笑い、街中を疾走するパトカーに憧れ、事件の裏側にある登場人物の心情に心を動かされた。


生まれた時にはすでにドラマは終了していて、スピンオフドラマは物心つく前に放送され、リアルタイムで観たのは映画だった。
映画が公開される前は必ずと言っていいほどドラマの再放送が行われている。再放送で予習をし、映画を見に行った記憶がある。
家の、当時はちょっと小さなテレビで観る主人公の青島刑事が大きなスクリーンの中で活躍する姿に魅了されたのを覚えている。


踊る大捜査線シリーズの最新作が映画館で公開される。それに伴い、テレビドラマが再放送されている。
映画の再放送は何度も観たことがあるから内容はだいたい覚えている。しかしドラマ版は全くと言っていいほど覚えていなかった。
1997年に放送されたドラマ、27年前のものだ。僕はもちろん生まれていない。約30年前のドラマであるから、今改めて観たらきっと色褪せているのだろう。そう生意気に評論家気取りをした放送前の自分を、放送後の自分は恥じた。めちゃくちゃ面白いのである。


踊る大捜査線を観たことない人からしたら、なんのこっちゃという話だが、映画から『踊る』の虜になった僕からしたら、ドラマ時代の青島刑事と室井管理官の師弟関係になる過程が胸熱なのだった。
映画ではこの2人はすでに師弟関係が確立されていた。あの関係性に辿り着く間にこんな事件があったなんて!と衝撃を受けた。
子どもの頃はなんとなく「青島さん、かっけー」と呑気に観ていたが、社会人になってから観ると全然違う見方ができた。
脱サラして警察官になった青島さんが思い描いていた警察官像と湾岸署での仕事内容のギャップに悩んでもがく姿、室井管理官の上からの圧力と青島刑事たち現場の刑事からの要望との間での、中間管理職ゆえのもどかしさ。
もちろんくすりと笑えるシーンはたくさんあるし、現実ではありえないくらい湾岸署内のセキュリティの甘さ。お台場はドラマ内で「空き地署」なんて揶揄されていたが、本当に空き地ばかりで今のお台場からは想像ができない。


27年前のドラマだからといって馬鹿にはできない。ゲラゲラ笑ったり、気付けば固唾をのんだりしながらテレビ画面を食い入るように観た。
久しぶりにテレビドラマをこんなにも楽しく観ることができた。新作映画が放映されたら久しぶりに映画館に行って観ようと思う。映画館を訪れるのは4年ぶりになる。今からとても楽しみだ。

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