病理学講義2)臨床講義を受けるその前に!〜疾患を5つに分類!〜
ここでは、疾患をその成り立ちから、5つに分けて考えてみます
新入生の皆さんは、この考え方が身に付くと、煩雑だった病名が、とたんにスッキリ整理できます
そうですね、まず、
何かひとつ、病名を思い浮かべてみて下さい、
頻度の多い疾患である、高血圧症、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、がん などを思い浮かべたのではないでしょうか?
次に、思い付いた病名が、以下のどれに当てはまるか考えてみましょう
1)循環障害(血液、リンパなどの流れの病気)
2)炎症・免疫異常・感染症(免疫反応に関連した病気、膠原病も含む)
3)代謝異常・変性疾患(体内物質の代謝異常や、細胞が変質する病気)
4)先天異常(胎児障害、遺伝性疾患、染色体異常といった病気)
5)腫瘍(良性腫瘍や、悪性腫瘍を含む、細胞増殖に関連する病気)
例えば、、、
1)循環障害には、心筋梗塞、脳梗塞、高血圧症などが分類され、
2)炎症、感染症には、肺炎、肝炎などが、免疫異常には、花粉症や、膠原病である関節リウマチなどが当てはまります
3)代謝異常には、尿酸の代謝異常である痛風や、糖代謝の異常である糖尿病など、変性疾患には、βアミロイドが脳に蓄積し、神経の変性が起こるアルツハイマー型認知症などがあります
4)先天異常には、心室中隔欠損症など、
5)腫瘍には、胃癌や、肺がんなどが分類されるでしょう
いかがですか?
思い浮かべた病名は、どこかに当てはまりましたか?
実は、以上の分類に、直接は当てはまらないものもあるので注意が必要です
ケガである外傷(脳挫傷、骨折など)や、うつなど、心の病です
その他、症候群のように、多臓器に同時に一連の症状が起こる疾患もありますし、先天性疾患で、免疫疾患など、重なるものも、当然存在します
このように、すべてが一対一で当てはまるわけではありませんが、
頭の中に、この引き出しを用意しておくと、この先、多くの疾患を学んでいく上で、便利だと思います
では次に、
成り立ちの5つを縦軸にして、横軸に臓器を入れた表を作ってみましょう
横軸の臓器は、他にも、呼吸器、泌尿器、などと、入れることができます
先ほどの病名を、さらにこの表に当てはめてみましょう
すると興味深いことに気づきます
例えば、脳に感染が起これば、髄膜炎や脳炎、骨に感染が起これば骨髄炎、肝臓に感染症起これば、肝炎と、それぞれの臓器に感染症が存在し得ることが分かります
臨床医学では、臓器別、つまり縦軸の勉強をしていきます
循環器内科、脳神経外科、整形外科、耳鼻科、泌尿器科、などの診療科は、こうした対象となる臓器別に専門的な診療が行われているわけです
学校で、学年が進むと、臨床医学の講義が始まり、各科専門のドクターが講義をしにくると思います
この時、どの臓器(科目)でも、循環障害、代謝の病気、先天異常、炎症、腫瘍の疾患を順番に習っていくのだなと、心の準備ができるわけです
つまり、各々の臓器で同じ成り立ちの病気が起こり、その時、各組織には、同じ様な病理変化が起きていることも推測できます
各項目に病名を記入してみましょう!
下の表に、病名を埋めてみましたが、*あくまでもひとつの例です
例えば、私が専門の脳神経の講義では、脳の循環障害では、脳梗塞、変性疾患では、パーキンソン病など、腫瘍では、神経膠腫、髄膜腫などの脳腫瘍、脳の先天疾患では、無脳症、中脳水道狭窄症などを学ぶことになります
ここまで読んでいただき、ありがとうございます、
お疲れ様でした!
病理講義3)からは、いよいよ各論「循環障害」になります
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