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バ◯ァリンの半分はやさしさでできている?〜NSAIDsの特徴と副作用〜

皆さんこんにちは、薬剤師のTATSUです。

あいこん

本日もTERU先生に機会を頂き、看護師国家試験頻出薬剤を解説させていただきます。今回もTERU先生がまとめて頂いた看護師国家試験の10年分の薬理学分野の問題を元に、薬剤師の立場から皆様に分かりやすく解説していきます。

本日のテーマはこの3つです。

① NSAIDsとは?

② NSAIDsの働きは?

③ NSAIDsの副作用は?

順に一つずつ見ていきましょう。

あいこんてる

TERUです、TATSU先生、解説お願いしますー

NSAIDsって、臨床でエヌセイズって発音することが多いですよね

エヌセイズといえば、基本は鎮痛、解熱薬として使われる事が多くて、

ひと昔前のCMで、「バ◯ァリンの半分はやさしさで出来ている」ってありましたよねー? あれもそうですよね?

あいこん

そうですね!

あの市販薬は、二種類の薬剤の合剤で、副作用を軽減する成分も一緒に入っていて、やさしいですよ〜といった、キャッチコピーなんだと思います

TERU先生は、テレビ好きですね〜、今の若い人はそのCM知らないじゃないかな、、、?

そのやさしさの正体も含め解説しますね

① NSAIDsとは?

NSAIDsとは、:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugsの略で、日本語では、非ステロイド性抗炎症薬と呼びます。

ステロイド薬は、抗炎症作用のある薬ですが、NSAIDsはステロイド以外の、抗炎症作用のある薬の総称となります。

② NSAIDsの働きは?

NSAIDsの主な働きは、消炎、鎮痛、解熱作用です。

では、どのように働くか?

我々の細胞が傷つくと、細胞から脂肪の成分であるアラキドン酸という物質が出てきます。

すると、このアラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ、略してCOXという酵素によって、プロスタグランジンという炎症を引き起こす物質に変えられ、発熱や炎症を引き起こします。

更に細胞が傷つけられると、発痛物質が出てくることで痛みを引き起こしますが、プロスタグランジンはこの発痛物質の働きを増強します。(下図参照)

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では、NSAIDsはどのように炎症や痛みを抑えるのか?炎症物質であるプロスタグランジンの生成を抑える必要があるため、生成を助けるシクロオキシゲナーゼ、COXという酵素を阻害することで、消炎、鎮痛、解熱作用を発揮します。

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③ NSAIDsの副作用は?

NSAIDsの副作用で押さえるべきはたった1つ、それは胃腸障害などの消化性潰瘍です。

なぜ胃腸などの消化管が障害を受けるか?その理由は、正常細胞内でのプロスタグランジンと、傷つけられて炎症を起こした、炎症細胞内でのプロスタグランジンの働きが異なるからです。

正常細胞内ではプロスタグランジンが、胃粘膜の保護や、胃の血流量を増やすなどの働きをしてくれます。一方、炎症細胞内でのプロスタグランジンは、炎症自体を増強するという働きがあります。プロスタグランジンが作られるためにシクロオキシゲナーゼ、COXという酵素が関わると先ほどお話しましたが、実は正常細胞と炎症細胞とでは、働くCOXの種類が変わります。正常細胞内で働くCOXをCOX-1、炎症細胞内で働くCOXをCOX-2と呼びます。(下図参照)

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多くのNSAIDsはこの両方のCOXをブロックするため、炎症を抑える一方で、胃腸を守るプロスタグランジンの働きも抑えてしまうため、胃腸障害が副作用で起きやすくなります。(下図参照)

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そのため、現在ではこの胃腸障害などの消化性潰瘍の副作用を減らすために、COX-2を選択的にブロックするNSAIDsも出てきています。ですが、完全に消化管に障害を起こさないわけではないので、NSAIDsの主な副作用は?と問題で聞かれたら、迷わず消化性潰瘍を連想できるようにしてください。

冒頭でTERU先生が言っていた、やさしさの正体は、胃薬ということになりますね、臨床現場ではNSAIDsを長期投与する場合は、必ず胃薬を併用します

 いかがでしたでしょうか?今回はNSAIDsについて押さえるべきポイントを簡単に纏めました。今回の内容も動画にしてるので、ご興味あれば是非こちらも見てみて下さい。

薬剤師TATSUチャンネル

【NSAIDs】看護師国家試験頻出薬剤 NSAIDsの特徴、種類、副作用



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