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テクノ×SF漫画の現代アート最先端/Machine Girl - Super Freq EP [Freq Records]
Artist: Machine Girl
Title: Super Freq EP
Label: Freq Records
Genre: Breakcore
Format: EP
Release: 2024.04.15
交響詩篇エウレカセブン、カウボーイビバップ、サムライチャンプルーなどの脚本を担当した佐藤大とスイスのチームがタッグを組んだプロジェクト「FREQ」、音楽家/漫画家Nicola Kazimirの漫画用サウンドトラック。
テクノミュージックのクラブカルチャー×SF漫画をテーマに、『音』をエネルギーとして変換するようになった未来の社会を舞台に、そこに生きる者達の群像をバンデシネ形式のコミックとして展開している。
記念すべき第一弾のアーティストは、現代デジタルアートの旗手として名高いOrange MilkからもリリースしているMachine Girl。ベースミュージック/ブレイクコア/テクノを軸としたハイパーポップ~近未来的なサイバーパンク感溢れるファンキーな楽曲がスピーディーかつアップテンポに展開される。シンセサイザーによる煌びやかなメロディー、猛攻とでも言うべきだろうか叩き込まれるドラムパターン、機械と人間が融合したかのような発声のラップボーカル、まさに煙たく退廃したテクノロジーの世界にチープなネオンの明かりが眩い典型的なSFの世界観を感じさせてくれる。または、どことなく戦闘機型のシューティングゲームのBGMによく合いそうな雰囲気。
楽曲の尺はどれも短いが、恐らくは昨今に多大な影響を与えるSNSの影響によるものか。情報の取捨選択で不要と判断されたものは秒でフリックされて次の情報へと切り替わり、興味のあるポストについては長く見る傾向にある。このため、最初にフックを仕掛けて興味を引き付ける楽曲が過去に比較して圧倒的に増え、長尺である必要性はなくなっている。もしくは漫画用BGMとしての構成ありきで考えているからか。しかし、楽曲の時間は短いながらも過激な音像はドラッギーで中毒的、かつ展開の切り替わりの速さには万華鏡のように惹きつけられるものがある。
SFというジャンルは既に開発され尽くされている状態ではあるが、それでも人を魅了してやまないのは、今現在に存在しないテクノロジーが生活の中に普及すると人の生活や社会がどう変化するのかを考えたり、刺激的なガジェットやテクノロジーについて想像を膨らませたりする浪漫があるからだろう。
サイバーパンク寄りなSF愛好家に聴いてほしい一枚。
誰か教えてほしい。港の空の色は今でも空きチャンネルに合わせたTVの色なのだろうか。