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異形の電子音の囁き/Volker Hennes - Holy Water Whisper [Entr'acte]

Artist: Volker Hennes
Title: Holy Water Whisper
Label: Entr'acte
Genre: Noise, Experimental
Format: CD
Release: 2019

Track List
1. Holy Water #1
2. Fluid Noise #1
3. Cleaning #1
4. Fluid Noise #2
5. Holy Whisper #2
6. Fluid Noise #3
7. Cleaning #2
8. Fluid Noise #4
9 Holy Whisper #3



前衛的かつ実験的な音楽を多数輩出している、ベルギーのアントワープに拠点を置く「Entr'acte」より、ドイツ出身のサウンドアーティストVolker Hennesより2019年作。

未知とも異次元とも言えるような異形の音のオブジェクトをこちら側の世界に引き込んだような作品。無駄な要素の一切合切を排除しているため、一つ一つの音の立体情報(色彩、質感、動態、形状など)が際立つなど、サイケデリックかつ視覚的要素が強い。電子音を彫刻のような立体作品にして、自律運動をさせているような世界観。


・Holy Whisper

真っ黒の空間に金属の泡のオブジェクトが浮かんできて弾けたときに音が鳴る。発生と消失を不規則的かつ断続的に繰り返していて、一つ一つの音が立体的に把握しやすい。こういった特徴が話し声に見えるのだろうか。囁きにしてはややうるさくもあるように感じ、音自体は電子音で無機質であるが、動態という意味でのリズム感覚としては有機的である。


・Fluid Noise

水銀の海とでも形容すべきだろうか、揺らめく銀色の水面に青色や緑色などといった寒色がマーブル柄として混ざっている。音の流れが連続的であるため、平面構造をしたリボン状の帯とも捉えることができる。水面の表面は散逸的に光が反射しているため眩しい。「#1:粘性の低い水面」・「#2:氷河」・「#3:渓流・飛沫」・「#4:粘性の高い液体」といった具合。あまりにも異次元なため、ずっとぼんやりと眺めていることができる。


・Cleaning

灰色の粒子がおおよそ同じ軌道で移動している様が興味深い。#1は、きめの細かい粒子がサラサラと動いており、時折目立つ大きい粒子は微振動をしている。#2は、粒子のサイズにバラツキがあり、全体的に量が多い。このため、粒子の移動速度に差異が見受けられる。タイトルにあるように掃除機か何かの音なのだろうか。


初めて聞いたとき、今まで見たことも聞いたこともない音だったので、非常に衝撃的だった。未知の世界か遠い未来から来た音だと思った。


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