見出し画像

クリスマスプレゼントには何が欲しい?/Nathan Fake - Silent Night [Border Commnuity]

Artist: Nathan Fake
Title: Silent Night
Label: Border Community
Genre: Downtempo
Format: 7"
Release: 2005.12.05


イギリスの首都ロンドンに拠点を置く、James Holden主催のBorder Communityより、看板アーティストNathan Fake(2016年に同国の大手レーベルNinja Tuneに移籍)によるクリスマス特別企画盤である7"ホワイト盤。

A面はNathan Fakeによるクリスマスの定番楽曲である「Silent Night/きよしこの夜」のカバー、B面は後年の2006年にリリースされた1stアルバム「Drowing In A Sea Of Love」の先行リリース。特別企画盤のためか、bandcamp、Beatport、Apple Musicなどの各種デジタル配信には登録されておらず。

リリースされた当初は即座に店頭から消え、手元に届いたときは本当に素敵なクリスマスプレゼントだと感動したことを覚えている。デジタル配信の良さは買うにしても聞くにしてもとくにかく便利であるという点においては他の媒体に勝ると思うが、それでもフィジカルとしての媒体には及ばない点はあると思う。本当にしょうもないことではあるが、レコード箱を漁っていてたまたまこの盤が出てきたときに、ちょうど自分のためのクリスマスプレゼントとして買ったのを思い出した。デジタル配信にはこういった出来事がない、とは勿論言わないが、実際に手に取って、物という現実的な媒体を通して、手に入れた経緯や当時の思い出に思いを馳せるという、ちょっとした時間はやはりフィジカル媒体としての面白さと分かりやすさだと思う。思いがけない何かに出会ったという不思議な喜び。

A面は、これぞBorder Communityであり、Nathan Fakeと言わんばかりの好カバー。暖かみや丸さのような柔らかさがあるがどこか歪んだドラッギーなシンセ音によるクリスマスソング。ゆったりとした進行と共に徐々に音数が増えていくが、決して派手になるわけではなく、適度に抑制された落ち着きを保っており、静かにクリスマスを祝うには最適である。

B面は、A面のクリスマスとは関係がなく、2006年にリリースされたアルバムにて収録曲であったことが判明する。テクノなどの4つ打ちから離れ、ロックを源流とするかのような楽曲。暖かみはあるが歪んだシンセ音は健在で、やはりどこかドラッギーでありサイケデリックでありカラフルである。

番外編として、ドイツ連邦共和国の北部の港湾都市ハンブルクに拠点を置く、DJ Koze主催のPampa Recordsより、DJ Kozeとのスプリットシングル、2010年12月のリリース。A面はNathan Fakeが担当し、タイトルはXmas Rush。リリース時期とタイトルからしてクリスマスをイメージした楽曲と思われる。Border Communityの7"とは異なり、カバーではないが、本人の持ち味であるドラッギーな陶酔感が遺憾なく発揮されている。

いいなと思ったら応援しよう!