ダンジョンへ入塔するための音楽/Blood Lord - The Bloodstained Keep [Dungeons Deep Records]
Artist: Blood Lord
Title: The Bloodstained Keep
Label: Dungeons Deep Records
Genre: Dungeon Synth, Chiptune
Format: Cassette, 10×File
Release: 21st Oct 2021
Track List
1. The Lord Awakens
2. Moss Lit Caverns
3. Weep For Eternity
4. Pulsing Veins
5. A Midnight Waltz
6. Those That Serve
7. Family Prestige
8. Somewhere Lies A Cure
9. From Your Crypts Arise
10. The End Is Nigh
アメリカ・オハイオ州に拠点を置くダンジョンシンセの巣窟Dungeons Deep Recordsより、Blood Lordによる8ビットなダンジョンシンセ、全10階層。
ダンジョンシンセとは、ブラックメタルとダークアンビエントを融合させ、映画的ともゲーム的とも言えるような、中世のファンタジーを彷彿とさせるメロディックな音楽である。総じて、ゲームのダンジョンで流れていそうな音楽のことを指す。1990年代初頭には既に存在していたとされる、歴としたエレクトロニックミュージックである。
「The Bloodstained Keep(血塗れの砦)」と題された、Blood Lordによる2作目のアルバム。Casio VL-Toneを使用した、非常に分かりやすいダンジョンシンセ。
アルバムタイトルやジャケットに表れているように、ドラキュラ伯爵の居城か惨劇のあった古城のような恐ろしいダンジョンがテーマと言ったところか。全体を通して、ミステリアスで湿り気のある仄暗さや悲壮感を感じさせるが、侘び寂び哀愁を感じさせるメロディーが実に情緒豊か且つ映像的で、一曲一曲に何かしらの情景を感じさせる。埃っぽくて薄暗いダンジョンの中を一人で冒険しているような気分にもなり、ゲームオーバーのコンティニュー画面で呆然としている気分にもなる。8ビットの音像は面白く、色彩も形状も単調ではあるが、それ故に幾何学的な抽象画を楽しんでいるような気分にもなる。
Dungeons Deep Recordingsは名前の通り、ダンジョンシンセを専門とするレーベルである。最たる特徴としては、ダンジョンのステージを彷彿とさせるタイトルとそれに関連した芸術的なジャケットワークの組み合わせである。ジャケットでどのダンジョン(ステージ)をテーマにしているか非常に分かりやすい。それが例えば、地下の墓所であったり、聖剣の眠る神聖な場所であったり、エルフの住まう大森林であったり、吟遊詩人のいるギルドの酒場であったり、平原に聳え立つ堅牢な砦であったり、戦争の一風景であったりと。ダンジョンシンセの世界観に没入したい方にお勧めしたいレーベル。
ダンジョンシンセ愛好家によると、ダンジョンシンセの音源を入手することを「入塔する」と言うらしい。冒険したい方はぜひ、ダンジョンシンセを片手に入塔しましょう。